第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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[PL-01] 口腔癌治療のこれからと日本口腔腫瘍学会のさらなる発展に向けて

〇桐田 忠昭1 (1.(一社)日本口腔腫瘍学会理事長  奈良県立医科大学 口腔外科学講座)

【略歴】
1983年:
大阪歯科大学卒業、奈良県立医科大学大学院入学
1987年:
奈良県立医科大学大学院修了、奈良県立医科大学口腔外科学講座助手、
1991〜1992年:
埼玉県立がんセンターへ国内留学
1994年:
奈良県立医科大学口腔外科学講座講師
1998〜1999年:
Memorial Sloan-Kettering Cancer Center(New York)へ留学
1999年:
奈良県立医科大学口腔外科学講座 助教授
2002年:
奈良県立医科大学口腔外科学講座 教授
【所属学会役員等】
日本口腔外科学会(理事長)、日本口腔腫瘍学会(理事長)、日本癌治療学会(理事)、日本頭頸部癌学会(副理事長)、日本口腔科学会(理事)、日本口腔顎顔面外傷学会(理事)、日本口腔内科学会(評議員)、日本有病者歯科医療学会(評議員)、日本顎顔面インプラント学会運営審議委員、日本学術会議連携会員など
口腔癌治療は、ガイドラインによる治療が大原則であることは言うまでもない。現在の口腔癌治療のモダリティとしては、外科療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法の大きな4つが存在するが、どのガイドラインにおいても外科療法が主体となっていることは周知のことである。最近の治療の進歩としては、全てのモダリティにおいて進展が見られるが、特に薬物療法、免疫療法において、新規薬剤の出現が大きく貢献しているものと思われる。2012年に承認された分子標的治療薬Cetuximab、また、2017年には免疫チェックポイント阻害薬であるNivolumabが出現し、またPembrolizumabも承認された。これらの分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬は、主に進行・再発癌に対する治療として使用され、これまでにはない効果を上げているが、進行癌における一次治療の早い段階での使用についての効果も報告されてあり、治療選択肢はさらに増えるようになると思われる。また、光免疫療法がその優れた結果から局所再発頭頸部癌において承認され、さらにBNCTも 「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌」に対して承認された。今後いずれかが5つ目の新規治療モダリティとなる可能性があり、今後の症例集積結果が期待される。  

 このように新規の有望な治療法が続々と出現してくる中で、今後も日本口腔腫瘍学会がさらなる発展を遂げていくためには、まずはひとりひとりの会員が口腔がん治療医として常に最新情報を得、患者さんに適切な治療を説明、提供できる存在にならねばならないと考える。そしてその為には、本学会がその中心となって情報を発信し、最新知見の発表の場としての学術大会がさらにレベルの高いものとなり隆盛するとともに、次世代を担う若手の口腔がん治療に携わる専門医の育成に注力し、真に患者さんに信頼される医療者を輩出することが責務であると考える。また、広く開かれた学会となるためにも本学会に理解のある医科系関連専門医の評議員、理事への参画も必要で、広い視野に立って議論できる学会へとさらなる進化が必要である。with コロナ、after コロナにおける学会の発展を会員一人ひとりが真に自覚し、努力するとともに協力をお願いしたいと考える。