[I-O-15] 家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者における小児期から成人期のIMTの変化と薬物療法についての検討
キーワード:内膜中膜複合体厚, 家族性高コレステロール血症, LDLコレステロール
【背景】家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia: FH) は高コレステロール血症、黄色腫、若年性粥状硬化による冠動脈疾患を主徴とする常染色体優性遺伝の疾患である。特にヘテロ接合体患者は500人に1人認められ、小児期での早期診断および適切な時期での薬物療法介入による冠動脈疾患の発症、進展の予防が重要である。【目的】当院小児科外来を受診したFHヘテロ接合体患者を対象として、小児期から成人期にかけての頚動脈の内膜中膜複合体厚 (Intima-media thickness: IMT) の変化や血清脂質の変化などを検討した。【方法】対象は21人(男11人、女10人) のFHヘテロ接合体患者である。身体計測、頚動脈エコーでIMTの計測、血清脂質検査などを施行した。【結果】初回の頚動脈エコー施行年齢は11.4±3.7歳で、平均フォローアップ期間は6.0±4.2年である。mean IMTは0.50±0.10で男女差は認めなかった。経過中に男性2名にプラーク形成を認め、薬物療法を開始したところ改善した。経過中に薬物療法を開始している患者は5人(男3人、女2人)、平均薬物療法開始年齢は20.4±2.3歳であった。そのうち、突然死の家族歴がある患者は5人中4人であった。思春期のLDLコレステロール(LDL-C)の変動は±20%と大きく、特に身長の伸びとともにLDL-Cが低下し、身長の伸びが終わった後にIMTの肥厚やプラークを認め、薬物療法を必要とする傾向にあった。【結論】思春期のFHヘテロ接合体患者の経過をみる上で、血清脂質だけではなくIMTの変化や身長の変化も重要な指標となる。個々の変化にもとづいた対応が必要である。