[I-P-001] 乳児期に根治術を行ったASD症例の検討
キーワード:ASD, 乳児, 手術
【背景】ASDは一般的に、若年齢での血行動態への影響を及ぼしにくく、手術適応となる例は少ない。【目的】乳児期までに手術が必要となったASD症例の検討。【方法】中京こどもハートセンターで手術を行ったASD、1998~2013年までで確認可能な11例について、診療録を後方視的に検討した。尚、PDA trivial leak合併例は対象に含めた。【結果】全11例中7例が21trisomy、2例が早産児・慢性肺疾患であった。その他1例は精神発達遅滞を認めるものの主要な内因性疾患・染色体異常は認めなかった。1例はASD術後も心不全が遷延し、その後肝血管腫が判明し手術を行った。これにより心不全は改善した。術前の心臓カテーテル検査は8例で実施した。Pp/Ps中央値0.84(0.65~1.0)・酸素負荷後0.62(0.58~0.92)、Qp/Qs1.5(1.2~2.6)・酸素負荷後2.4(1.3~3.0)、Rp8.5(1.3~11.0)であった。心臓カテーテル検査でsevere PHと判断した2例で、手術適応に肺生検を参考とした。手術不適応と判断した症例は存在しなかった。手術実施時期は生後4ヵ月(1~13)であった。術後は全症例で在酸素療法導入、9例で肺血管拡張薬導入した。現在も肺高血圧治療を行っている症例は4例であり、3例は術後1.5~3年以内でCLD2例、21trisomy1例であった。残る1例は術前severe PHで肺生検を行った21trisomyであり、術後8年経過していた。【考察】未熟児、21trisomy児に合併したASDは、早期に手術が必要になる可能性があり注意する必要がある。それらに該当しないASD例が有症状となった場合、心臓以外の短絡病変も念頭におく必要がある。