[I-P-018] 心室-大動脈平均圧関係の測定意義
キーワード:心室-大動脈関係, 心筋酸素需給バランス, 平均動脈圧
【背景】心室-大動脈の関係は循環を規定する重要な生理である。心室平均圧(mLVp)と大動脈平均圧(mAop)の比は心臓仕事量と心筋酸素供給との比を包含し、心筋酸素需給バランスの観点から循環動態を評価できる可能性がある。【方法と結果】 先天性心疾患患者のカテーテル検査において、定常状態およびペーシング負荷中、ドブタミン(DOB)負荷中のmLVpおよびmAopを測定し、種々の状況下の心筋酸素受給バランスについて検討した。Aop/LVpは、大動脈圧波形から算出した心筋酸素受給バランスを表すsubendocardial viability ratioと有意な正の相関を示した。心拍出時間で補正したAop/(LVp*T/Te)は平均1.17±0.08で幅広い疾患群でほぼ一定の値を示した。さらに、ペーシング、DOB負荷時ともに同様の値で変化は認めなかった。しかしながら、左心機能が著しく低下している症例や大動脈縮窄術後で左室のhypertrophyのある症例では0.97±0.01と低下を認め、ペーシングに伴う頻拍でさらに低下し、心筋酸素受給バランスが低下し、負荷により容易に悪化することが示唆された。【考察】平均心室圧および平均動脈圧の比は心筋酸素需給バランスの観点から循環動態を簡便に把握する有用な指標であると思われた。