第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-10 心筋心膜疾患

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心筋心膜疾患①

2015年7月16日(木) 16:50 〜 17:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:土井 拓 (天理よろづ相談所病院)

I-P-045~I-P-049

[I-P-048] 心臓再同期療法が著効し、劇的な心機能改善が得られた乳児期発症特発性拡張型心筋症の一例

原 卓也1, 大野 拓郎1, 金谷 能明1, 山村 健一郎2, 田ノ上 偵久3 (1.大分県立病院 小児科, 2.九州大学病院 小児科, 3.九州大学病院 心臓血管外科)

キーワード:拡張型心筋症, 心臓再同期療法, hyper responder

【背景】成人領域では大規模臨床試験において、心室同期不全を伴う慢性心不全に対する心臓再同期療法(CRT)の有効性が示され、拡張型心筋症(DCM)においてもその効果が示されている。一方、小児領域におけるCRTの報告例は依然として少なく、明確なエビデンスは確立されていない。今回、心不全の進行により心臓移植を考慮したが、CRTが著効し移植を回避することができたDCMの1例を経験したので報告する。【症例】4か月男児。健診のため近医を受診した際に心音減弱・体重増加不良を指摘され、当院に紹介となった。著明な心拡大(CTR 63%)と肺うっ血を認め、心エコーで心腔拡大(左室拡張末期径 43.0mm,187%N)、収縮能低下(EF 30%)、MR 3°、BNP高値(1427pg/ml)を認めた。心電図ではQRS時間は0.17秒と延長し、完全左脚ブロックを呈していた。二次性心筋症は否定的であり、特発性拡張型心筋症と診断した。強心剤・利尿剤に加え、β遮断薬・ACE阻害剤の導入を行い、一時的に症状の改善が得られたが、感染を契機にカテコラミン依存性の心不全状態に陥り、内科的治療の限界と判断した。移植適応と判断したが、心室同期不全が顕著でありCRTの適応と考えられ、8か月時に他院で移植準備に並行してCRTが導入された。その後、心収縮能は徐々に改善し、導入1か月でカテコラミン離脱、10か月時に当院に帰院した。以後も症状の改善は著しく、検査でも左室拡張末期径の縮小(31.5mm, 114%N)、心収縮能改善(EF 60%)、MR消失、BNP値の正常化(12pg/ml)が得られ、移植回避が可能であった。1歳2か月時に退院し、現在外来管理中である。【考察】本症例ではCRTにより、臨床症状に加え左室収縮能、左室容量負荷所見の著明な改善が得られた。治療適応症例の選択や、治療介入のタイミング、長期予後など不明な点は多いものの、小児領域においてもCRTは心室同期不全を伴う心不全に対して積極的に試みられるべき治療の一つと考えられた。