[I-S02-08] パーソナル3Dプリンターを用いて患者データから作製した実体/中空心臓立体模型
キーワード:3Dプリンター, 心臓立体模型, シミュレーション
【背景と目的】近年,精巧な心臓立体模型が市販され,手術シミュレーションや教育に利用されている.また3Dプリンターが普及し,脳神経外科や整形外科領域では患者データを用いた立体模型が作製され,診療に活用されている.パーソナル3Dプリンターを用いて患者データから作製した心臓立体模型の小児循環器診療における有用性を検討する.【方法】OsiriX(Pixmeo社)を用いてCT画像のDICOMデータをSTL形式(3Dプリンター用フォーマット)に変換し,3DプリンターUP Plus(TierTime Technology社)で造形した.作製した模型は(1)ABS樹脂製実体模型(白色単色),(2)ABS樹脂製実体模型(パーツごとに色分け),(3)シリコン製中空模型の3種類.(3)は(1)にシリコンを塗布後,ABS樹脂を溶解させて作製した.(2) は造形を外部業者に委託したが,(1) (3)は全工程を自施設で行った. (3)を用いてシネアンギオ装置AXIOM Artis dBC(SIEMENS社)で透視下の視認性を確認した.【結果】DORV,CAVV,TGAの患者データから(1) (2) (3)(着色シリコン),ASDの患者データから(3)(透明シリコン)を作製した.作製時間/費用は(1)12~24時間/5000円,(2)2~3週間/2~3万円,(3)2~3週間/1~2万円. (1)(2)は実体模型で心腔内構造の情報は限られたが,大血管や気管支の位置関係把握は容易で有用であった.またカテーテルアブレーションのイメージングにも有用と考えられた.(3)は血管壁厚を正確には再現できなかったが,X線透視下,特に浸水下での視認性に優れ,ASD模型でAmplatzer閉鎖栓留置/回収をシミュレーションできた.透明シリコンは外側からカテーテルや閉鎖栓を確認でき,シミュレーターとして特に優れていた.【考察と結論】心腔内構造や血管壁厚の再現性に課題はあるが,各模型とも形態把握に有用で,特に中空模型はカテーテル操作のシミュレーターとして優れていた.今後,患者/家族への説明や医学教育などへの活用も期待される.