[I-YB07-02] Fontan循環におけるfenestrationの長期的意義
Keywords:Fontan, 静脈キャパシタンス, fenestration
【背景】Fontan循環におけるfenestrationは,肺血管抵抗が高い症例などで術後急性期にFontan循環を成立させるのに役立つ.しかし,fenestrationが長期的に循環動態へ及ぼす影響についてはいまだ不明な点が多い.
【目的】Fontan術後患者では心不全患者と同様に交感神経系活性化等により静脈キャパシタンス(静脈容量 Cv)が減少しており,容易に中心静脈圧(CVP)が上昇しやすいと考えられる.fenestrationはCv増大に寄与するという仮説を立て,検証した.
【方法】Fenestrated Fontan術後慢性期の患者でfenestrationのある症例(F群)7例とfenestrationが既に閉鎖した症例(NF群)9例を対象とした.心臓カテーテル検査中に一過性下大静脈閉塞時の下流中心静脈の最大圧(最大CVP),閉塞前後でのCVP値の上昇幅(δ CVP),前CVP/最大CVP,およびCvを算出した.Cvは一過性下大静脈閉塞前後のδCVP/δ下大静脈径で求めた.
【結果】一過性下大静脈閉塞時の最大CVP値は同等であったが,δ CVPはF群でNF群より有意に低値を示した(mean 5.7mmHg vs 9.8mmHg, P<0.05).さらに、CvはF群でNF群より有意に大きく(1.01 vs 0.32, P<0.05),前CVP/最大CVPはF群でNF群より有意に高かった(0.74 vs 0.65,P=0.04).
【考察】Fenestrationは直接的にCVP上昇を緩和する以外にも,長期的にはCvの増大にも寄与しており,二次的にも安静時、負荷時双方のCVP上昇を避ける循環確立に寄与していると考えられた.したがって、fenestrationはFontan循環におけるCVPの変動を最小限に抑えることにより,鬱血肝など遠隔期合併症予防にも役立つ可能性があることが示唆された.
【目的】Fontan術後患者では心不全患者と同様に交感神経系活性化等により静脈キャパシタンス(静脈容量 Cv)が減少しており,容易に中心静脈圧(CVP)が上昇しやすいと考えられる.fenestrationはCv増大に寄与するという仮説を立て,検証した.
【方法】Fenestrated Fontan術後慢性期の患者でfenestrationのある症例(F群)7例とfenestrationが既に閉鎖した症例(NF群)9例を対象とした.心臓カテーテル検査中に一過性下大静脈閉塞時の下流中心静脈の最大圧(最大CVP),閉塞前後でのCVP値の上昇幅(δ CVP),前CVP/最大CVP,およびCvを算出した.Cvは一過性下大静脈閉塞前後のδCVP/δ下大静脈径で求めた.
【結果】一過性下大静脈閉塞時の最大CVP値は同等であったが,δ CVPはF群でNF群より有意に低値を示した(mean 5.7mmHg vs 9.8mmHg, P<0.05).さらに、CvはF群でNF群より有意に大きく(1.01 vs 0.32, P<0.05),前CVP/最大CVPはF群でNF群より有意に高かった(0.74 vs 0.65,P=0.04).
【考察】Fenestrationは直接的にCVP上昇を緩和する以外にも,長期的にはCvの増大にも寄与しており,二次的にも安静時、負荷時双方のCVP上昇を避ける循環確立に寄与していると考えられた.したがって、fenestrationはFontan循環におけるCVPの変動を最小限に抑えることにより,鬱血肝など遠隔期合併症予防にも役立つ可能性があることが示唆された.