[II-P-033] CMR (cardiac MRI) によるDuchenne型筋ジストロフィーの心機能評価
キーワード:デュシェンヌ型筋ジストロフィー, CMR, 心機能評価
【背景】デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy, DMD)は筋ジストロフィーの大部分を占め、進行性に筋萎縮と筋力低下をきたすX染色体劣勢遺伝形式をとる疾患である。近年は主な死亡原因である慢性呼吸不全と心筋症に対する集学的治療により生命予後の改善が得られている。昨年本邦で発表された診療ガイドラインによると、DMDの心機能評価には従来からの心エコーに加えてCMR(cardiac MRI)による心機能評価も有用であると記述された。【対象】2012年12月から2015年2月の期間に当院でCMRを施行したDMD6例についてCMRによる左室機能、遅延造影(LGE) について検討し、胸部レントゲンや心エコーなどと比較した。【結果】年齢:11歳~16歳(平均13歳、中央値13歳)。EF(CMR):26.7%~58.0%(平均43.1%、中央値43.1%)、LGE陽性は6例中4例にみとめ、左室側壁中心に病変が存在していた。MRI上心機能低下を認めた場合にはLGEも陽性であったが、BNPは1例を除き正常または軽度上昇であり心エコーでのEFは過大評価傾向があった。一方、胸部レントゲン写真上の心拡大を認めない場合でもCMR上心機能が低下しLGE陽性の症例もあった。【考察】DMDにおいては、ガイドライン上10歳以上の症例に関して毎年の心機能評価が推奨されている。当科通院中である10歳以上の症例のほとんどでCMR上心機能低下を認めた。11歳時にすでにLGE陽性症例もあることから、より早期にCMRを施行し心筋変性の有無を検索すべきと考えられた。また、特にステロイド投与のためにエコーウインドウが不十分な症例においてもCMRは心機能評価に有用であると考えられた。