第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-04 複雑心奇形

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複雑心奇形②

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:馬場 健児 (岡山大学)

II-P-042~II-P-046

[II-P-042] NICU入院児における複雑先天性心疾患の発生要因の検討

粒良 昌弘1,2, 白神 一博1, 福岡 将治1, 小林 弘信1, 永峰 宏樹1, 東 浩二1, 村上 智明1, 中島 弘道1, 青墳 裕之1 (1.千葉県こども病院 循環器科, 2.君津中央病院 小児科)

キーワード:複雑先天性心疾患, 発生要因, 染色体異常

【背景】複雑先天性心疾患(complex CHD)は, その複雑な解剖と血行動態から, 児の生命予後に大きな影響を与える. 近年日本では高齢出産と, 体外受精-胚移植を始めとしたAssisted Reproductive Technology (ART)による妊娠出産が増加している. complex CHDとこれらの関連を検討した報告は少ない. 【方法】2009年1月から2014年1月までの5年間に千葉県こども病院NICUに入室したCHD 243例を対象とした. 先天性心疾患(CHD)の診断, 父母の年齢, 妊娠の成立様式, 染色体異常の合併を診療録より後方視的に調査し, complex CHDの発生要因についてロジスティック回帰分析を用いて検討した. complex CHDは, 孤発性のVSD, ASD, PDA, PS(simple CHD)を除く, 複雑性を持つCHDと定義した. 【結果】全CHD 243例中, complex CHDは181例(74.5%), simple CHDは62例(25.5%)であった. 在胎週数, 出生体重の平均値はcomplex群で38週4日±20日, 2742±558g, simple群で38週6日±16日, 2541±878gであった. 父母の年齢の平均値はcomplex群で母32±6歳, 父33±6歳, simple群で母32±6歳, 父33±7歳で, 父母の年齢が35歳以上であった割合は, complex群で母39%, 父48%, simple群で母 40%, 父45%であった. 全CHD中ART出生は14例(6%)で, complex群, simple群におけるARTの頻度はそれぞれ, 8例, 6例であった. 染色体異常は全243例中46例(19%)に認め, complex群で25例, simple群で21例であった. 単変量解析では, 母年齢(p=0.87), 父年齢(p=0.39), ART(p=0.13), 染色体異常(p=0.0005)と有意であったのは染色体異常のみであり, 多変量解析でも差を認めたのは染色体異常のみで(OR 4.2, 95%CI 1.9-9.4), 父母の年齢, ART出生では差を認めなかった.【結語】複雑先天性心疾患の発生には, 染色体異常の影響が大きい. 今回の検討では父母の年齢, ART出生で有意差がなかったが, NICU入室例はcomplex CHDの頻度が高く, 今後異なる母集団での調査を検討したい.