[II-P-046] 在宅酸素療法と肺血管拡張薬多剤併用療法により両方向性Glenn手術を達成した、肺高血圧を伴うFontan candidateの1例
キーワード:Fontan手術, 肺高血圧, 肺血管拡張薬
(緒言)Fontan循環を目指す疾患群では、手術適応の決定に肺動脈圧(PAP)および肺血管抵抗(Rp)が重要になる。また近年、新しい肺血管拡張薬が使用可能となりこれらを併用することにより、これまで手術適応外であった症例にFontan手術の適応が期待できるようになっている。当科では生後1年まで肺高血圧を認め、Fontan手術(およびGlenn手術)は困難と考えられたFontan candidateの男児に、在宅酸素療法(HOT)およびTadarafil, Ambrisentan, Beraprostの併用を行い、両方向性Glenn手術(BCPS)を達成したのでこれを報告する。(症例)VACTERL連合、三尖弁閉鎖、心室中隔欠損、大血管転位、大動脈縮窄、主肺動脈拡張の男児。生後2週でbilateral PAB, 生後5ヶ月でNorwood手術を施行。生後10ヶ月でBTS stenosisに対してPTAを施行。その際、rPA mean=26mmHg, 1PA mean =42mmHg, Rp=6.4U・m2とGlenn手術は困難と考えられた。1歳よりHOT(40%酸素1L/分)およびTadarafil 1.0mg/kg/dayを開始。1歳4ヵ月でrPA mean=27mmHg, 1PA mean =26mmHg, Rp=6.72U・m2と肺高血圧の残存を認めた。Ambrisentan 0.2mg/kg/day, Beraprost 0.8μg/kg/dayを追加し、1歳7ヶ月でrPA mean=18mmHg, 1PA mean =21mmHg, Rp=2.6U・m2まで改善したため、生後1歳11ヵ月でBCPSを施行。術後経過は良好で顔面浮腫もみられなかった。その後上記治療を継続し、心不全の進行なく経過している。現在Fontan手術を目指して治療継続中である。