[II-P-072] 成人先天性心疾患に対する経静脈ペーシング療法
キーワード:ペースメーカ, 複雑心奇形, 成人先天性心疾患
【背景】複雑心奇形の予後が改善し、成人に達する患者数の増加に伴い経静脈ペーシングデバイス(CIED)植込み数も増加傾向にある。複雑心奇形では、解剖学的問題や心筋の電気的障害などから、CIED植込みは困難であることが予想される。複雑心奇形に対するCIED植込みに際しての工夫、問題点、合併症について検討した。【目的と方法】対象は、複雑心奇形を有しCIED植込みを施行した103名(植込み時年齢37±8歳)。ペースメーカ 56例、ICD 37例、CRT10例。心奇形は、CTGA 35例、TOF 33例を含む。93%に心臓手術歴があり、二心室修復59例、心房スイッチ9例、ダブルスイッチ11例が含まれた。複雑心奇形に対するCIED植込みに際しての工夫、問題点、合併症について検討した。【結果】重症心不全を伴うMustard術後SVC狭窄例に対しステント留置後CIED植込を施行。心房間短絡に対してのカテーテル閉鎖術を2例で植込み前に施行した。心房スイッチ術後や内臓逆位などの解剖学的構造が複雑かつ心筋が低電位などの問題例に、Navxによる3Dマッピングシステムを9例に併用し有用であった。以上の工夫をすることで99%の症例で予定されていたCIED植込が可能であった。問題点として、CTGAに対するCRTは、冠状静脈(CV)右室枝への心室リード留置を要するがしばしばCV走行異常を伴う。CRTを試みたCTGA 9例中1例ではCV走行異常を認めたものの植込み成功したが、別の1例でCVが冠状静脈口に開口せず経静脈的な体心室側のリード留置は断念し後日開胸し心外膜リードを留置した。合併症は15例(14%)(血腫3例、リードトラブル9例、感染1例、上大静脈狭窄1例)に発症し11例で介入を要したが、植込術関連の心穿孔、心タンポナーデや死亡は認めていない。【結論】複雑心奇形に対する経静脈CEID植込みは植込みに工夫を要するが、術後成績は概ね良好で有効な治療法といえる。