[II-P-088] 小児心臓外科手術後患者に対するリハビリテーションの安全性の検討
キーワード:リハビリテーション, 心臓血管外科術後, 小児集中治療室
【背景】成人心臓外科手術後のリハビリテーションは、明確な離床開始基準および進行基準が存在して集中治療室より安全性の高いリハビリテーションが提供されている。一方、小児領域においてはリハビリテーション自体が施行されている施設は少なく、リハビリテーションの安全性についても不明な点が多い現状にある。【目的】小児集中治療室(PICU)における心臓外科手術後患者リハビリテーション実施中の有害事象の有無を調査し、その安全性を検討すること。【対象と方法】対象は、2012年4月から2014年12月までに当院にて心臓血管外科手術を受けた後にPICUにてリハビリテーションを施行した192例(平均年齢2歳8ヵ月[生後11日-15歳]、男児105例、女児87例)。診療録より後方視的に、手術からリハビリテーション開始までの日数ならびに実施日数、PICU滞在日数、リハビリテーション実施内容、セッション数、リハビリテーション実施中の有害事象の有無について調査した。【結果】手術からリハビリテーション開始までの日数は平均5.0(1-30)日、リハビリテーション実施日数は平均5.7(1-61)日、PICU滞在日数は平均10.8(1-78)日であった。挿管中からの呼吸リハビリテーション実施例は54例(28.1%)で、134例(69.8%)は抜管後の早期離床を目的としたリハビリテーション、4例は廃用予防を目的としたリハビリテーションの実施であった。合計792セッションのうち、リハビリテーション実施中の有害事象は5件(2.6%)であり、内訳は、70%以下のSpO2低下(1件)、血圧変動(1件)、心拍数変動(1件)、ライントラブル(2件)であった。【考察】PICUにおける心臓外科手術後のリハビリテーションの有害事象は、一過性のバイタルサインの変化が主なものであり、全体として重篤な悪影響が生じたものはなかった。PICUにおける心臓外科手術後のリハビリテーションはほぼ安全に行えるものと考えられた。