第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-15 周産期・心疾患合併妊婦

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心疾患合併妊婦

2015年7月17日(金) 14:20 〜 14:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院)

II-P-089~II-P-093

[II-P-092] 未修復チアノーゼ性心疾患(PA/IVS)合併妊婦の1例

早野 聡1, 加藤 太一1, 深澤 佳絵1, 面家 健太郎2 (1.名古屋大学医学部附属病院 小児科, 2.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)

キーワード:成人先天性心疾患, 心疾患合併妊婦, PA/IVS

【症例】症例は32歳の女性で純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)に対して生直後に右BTシャント、更にWaterstone手術を追加され、日齢22にBrock手術を実施された。Waterstone短絡による圧排のため右肺動脈は閉塞し、5歳時の心臓カテーテル検査ではASDは右左短絡であり、BTシャント、Waterstone短絡とも閉塞していた。肺高血圧は認めなかった(28/4mmHg)。8歳時に主治医退職を機に通院を自己中断した。32歳で体外受精により妊娠し、妊娠14週でふらつきを主訴に近医を受診し、安静時SpO2は80%台のため在宅酸素療法を開始され、妊娠23週6日に当院へ紹介された。【経過】心エコーとMRIでは8歳時から血行病態に著変は無いと推定された。低酸素が進行したため妊娠29週4日予定帝王切開とした。完全静脈麻酔(TIVA)を導入後に低酸素に備えて循環器内科により透視下にPCPSシースを挿入し、帝王切開にて児を娩出した(体重1196 g)。手術室入室後は100%酸素吸入下にSpO2は90%後半で安定しており、麻酔導入直後に体血圧とSpO2が若干低下(90%前後)したが速やかに回復した。経食道エコーではASDは4-6mm径と小さく両方向で、術中に壁運動、TR、心房間交通に変動は認めなかった。退院後に実施した肺シンチグラムでは右肺血流は乏しく、また肺機能検査は拘束型だった。更に心臓カテーテル検査などの精査を予定している。【考察】本症を含むチアノーゼ性心疾患合併妊娠は高い胎児死亡率・発育不良が報告され諸般のガイドラインで妊娠禁忌にあたり分娩報告も少ない。本症例は小児循環器外来に通院していない未修復チアノーゼ性心疾患合併妊婦であり、妊娠に伴う右心容量負荷と換気障害から低酸素血症が増悪したと推察された。限られた情報から分娩方針を立てざるを得なかったが、酸素化と容量負荷の推移から早期娩出方針とし、全身麻酔下の帝王切開を選択して良好な転帰を得た。