[II-P-125] Monocrotaline(MCT)誘発性肺高血圧症モデルラットにおける小動物用SQUIDを用いた心磁図計測の有用性
キーワード:心磁図, 肺高血圧, ラット
【背景と目的】心磁図(MCG)は超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device ; SQUID)を応用した心磁計にて計測され、電気的現象により生ずる微小な磁界を体外から解析出来るという点で、心疾患診断法のひとつとして期待されている。我々はSQUIDを用いたMCGを小動物へ適用し、MCGの変化と心疾患との関係を検討するため、Monocrotaline(MCT)誘発性肺高血圧症モデルラットにおける心磁図計測の有用性を検討した。【方法】6週齢のオス SDラットへMCT 60mg/kgを腹腔内注射し、肺高血圧症発症までの5-6週にわたりMCG、心電図(ECG)、超音波検査(2DE)を同時に計測した(MCT群/Control群 各N=3)。MCGは電流ダイポール推定を適応し、ECGのS波に対応する時間でのMCGをS区間と定義して解析した。ECGはII誘導を計測し、2DEではAct/ET、心室中隔形態、三尖弁閉鎖不全等により各々肺高血圧症を示唆する変化の検出を試み、各検査間の差を検討した。【結果】MCT投与後、MCGでは10-21日後に電流ダイポール推定の角度変化を認めた。ECGでは、25-39日後にQT時間の延長を認めた。2DEでは25-38日後に心室中隔平坦化、三尖弁閉鎖不全の出現、Act/ET <0.3と肺高血圧症発症を確認した。【考察】右室負荷による右心室壁中の興奮波面の増加および向きの変化により、MCGにおける電流ダイポールに変化が生じ、2DEで肺高血圧による変化を確認する15-19日前より右室負荷に起因する磁界異常を検出した可能性がある。【結論】小動物用SQUIDを用いたMCT誘発性肺高血圧症モデルラットにおけるMCGは肺高血圧発症の診断に有用である可能性が示唆された。