[II-P-126] 心内修復術後の肺高血圧管理に難渋し,病理で肺胞低形成と肺小動脈の中膜肥厚を認めた例
キーワード:肺高血圧, 肺胞低形成, 心内修復術
【背景】先天性心疾患術後早期に肺高血圧発作に難渋する症例を経験する.今回種々の治療への反応が乏しく,剖検で肺胞低形成と肺小動脈の中膜肥厚を認めた1例を経験したので報告する【症例】女児.在胎34週5日母体妊娠高血圧のため緊急帝王切開,体重2362gで出生.心室中隔欠損症,心房中隔欠損症,動脈管開存症と診断.頻呼吸で心不全症状強く,日齢35に肺動脈絞扼術(以下PAB)+動脈管結紮術施行.術後RSウイルス感染のため人工呼吸管理を要したが,日齢59に抜管.以後も頻呼吸変わらず,日齢86の心臓カテーテル検査ではQp/Qs=1.2,右室圧=77/15mmHg,左室圧=73/18mmHg,左肺静脈楔入圧=43mmHg,Rp=5.6Wood単位であり,左房拡大著明なことから高肺血流性肺高血圧と判断.日齢73に心室中隔欠損閉鎖術+心房中隔欠損閉鎖術施行.術直後から一酸化窒素吸入とシルデナフィル内服,低心拍出量症候群による腎不全のため腹膜透析を要した.13PODから肺高血圧発作が頻回のため,フローラン持続投与開始したが,肺高血圧の改善なく経過. 21PODから頻回に右緊張性気胸を起こした.65PODに脳出血をおこし,67PODに透析カテーテルの感染による腹膜炎のため死亡.剖検での肺組織病理では,含気不良が著明,終末細気管支の上皮細胞の脱落もあり,肺胞低形成が著明であった.一部で間質の線維化があり,RSウイルスによる影響を認めた. 肺小動脈の中膜の肥厚が高度に残存したが,Heath-Edwards分類1度,IPVD1.0であった.【考察】心内修復術後の肺高血圧管理に難渋し,種々の治療に反応せず,剖検後の病理組織所見で著明な肺胞低形成と肺小動脈の中膜の肥厚を認めた非Down症児の症例を経験した.病理学的所見と症例の経過から治療について後方視的に検討する.