第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-17 心血管発生・基礎研究

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心血管発生・基礎研究③

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:内田 敬子 (慶應義塾大学)

II-P-132~II-P-136

[II-P-136] シルクフィブロインを基盤とした生分解性を有する心臓血管修復用パッチ材の開発(第2報)

島田 亮1, 根本 慎太郎1, 本橋 宜和1, 小西 隼人1, 打田 裕明1, 勝間田 敬弘2, 中澤 靖元3 (1.大阪医科大学付属病院 小児心臓血管外科, 2.大阪医科大学付属病院 心臓血管外科, 3.東京農工大学大学院 工学研究院・生命科学機能部門)

キーワード:人工パッチ, 絹フィブロイン, ポリウレタン

【背景・目的】小児心臓血管外科領域で使用する身体の伸長に応じて成長可能な手術用パッチの新規作成を目的に、優れた強度と長期的な生分解性を有し、古来より絹糸として用いられているシルクフィブロイン(SF)を基盤材料とした開発を開始した。汎用されるPTFEパッチに匹敵する物性の確保のためSFと合成高分子を配合する工夫を行っている。配合可能な合成高分子の網羅的検索からセグメント化ポリウレタン(PU)を選択し、その初期結果を前回報告した。大型動物へのパッチ埋植数の増加と中期観察期間後の組織学的検討を加えて報告する。【方法】溶液化した家蚕SF及びセグメント化PUを溶質質量比5:5または7:3で混合し(SF/PU)、厚さ0.4mmのパッチをエレクトロスピニング法で作製し物性評価を行った。ビーグル犬の下大静脈に本パッチを埋植した(SF/PUを5頭、コントロールとしてPTFEを4頭)。約10ヶ月後に犠牲死させ、パッチ埋植部を採取し、肉眼及び組織学的に評価した。【結果】物性評価:NMR解析ではSFとPUは分子レベルで相溶していた。PUの添加でSFの破断強度と伸展性は改善し、透水性はPTFEに匹敵した。SF/PUパッチ牽引時の針孔拡張は小さく、埋植時の針孔出血はPTFEに比し軽度であった。組織学的評価:両混合比率ともエレクトロスピニング層間隙へのマクロファージと繊維芽細胞の浸潤と毛細血管の新生を認めたが、パッチ内部への細胞浸潤やパッチの分解は乏しかった。カルシウム沈着は無かった。【考察・結語】PTFEに匹敵する物性と外科的操作性を有するパッチをSF/PU配合を材料としてエレクトロスピニング法で作成する方法が確立された。しかしながら、パッチの自己組織置換の可能性が期待されたが、生分解性は不十分であった。SFに混合する合成高分子の変更を行い、現在新たなパッチ作製に着手している。