[II-P-138] 新生児期に心筋虚血を呈した先天性冠動脈瘻の一例
Keywords:冠動脈瘻, 新生児, 虚血
【諸言】先天性冠動脈瘻は先天性心疾患の0.2~0.4%を占める希少な疾患である。乳児期早期に発見されることは少なく,発見される場合は胎児診断や心雑音を契機とする。全体の80~90%は小児期を無症状に経過し,短絡血流が多い場合にはコイル塞栓術や外科的治療が必要となる。小児期の心筋虚血は稀とされる。今回我々は,出生時から心雑音を認め,早期新生児期より心筋虚血を来した症例を経験したため,報告する。
【症例】在胎39週5日,3078gの男児。出生時から心雑音が認められ,新生児搬送となった。胸骨下部左縁にto and fro murmurがあり,心エコーで右冠動脈より右室へ流入する直径4mmの冠動脈瘻が認められた。胸部X線では肺血管陰影の増強や心拡大はなく,心電図ではST変化は認めなかった。無症候性と判断したため日齢3に前医へ逆搬送の後,自宅退院した。肺血管抵抗の低下と共に短絡血流が増加する可能性を考慮し,日齢7に当院再診とした。受診時,多呼吸と陥没呼吸,末梢冷感を認め,胸部X線上で心拡大,心電図ではV1~4でST低下を呈していた。心エコー上の壁運動異常は認められなかった。心不全に加え心筋虚血を来していると判断され,後方施設へ転院した。日齢12に施行された心臓カテーテル検査では肺体血流比2.47,右室圧 53/e5 mmHg,右冠動脈入口部4.6mm,右室への開口部4.0mmの冠動脈瘻が認められ,前下行枝より右冠動脈への側副血行路が確認された。日齢30に瘻孔閉鎖術が行われた。
【考察】先天性冠動脈瘻において新生児期から虚血を呈した例は,報告例においてもごく稀であるが,本例のように肺血管抵抗低下と共に急速に心筋虚血を来す例もある。出生時に無症候性であっても,肺血管抵抗が低下するまで慎重な監視下での管理が必要であると考える。
【症例】在胎39週5日,3078gの男児。出生時から心雑音が認められ,新生児搬送となった。胸骨下部左縁にto and fro murmurがあり,心エコーで右冠動脈より右室へ流入する直径4mmの冠動脈瘻が認められた。胸部X線では肺血管陰影の増強や心拡大はなく,心電図ではST変化は認めなかった。無症候性と判断したため日齢3に前医へ逆搬送の後,自宅退院した。肺血管抵抗の低下と共に短絡血流が増加する可能性を考慮し,日齢7に当院再診とした。受診時,多呼吸と陥没呼吸,末梢冷感を認め,胸部X線上で心拡大,心電図ではV1~4でST低下を呈していた。心エコー上の壁運動異常は認められなかった。心不全に加え心筋虚血を来していると判断され,後方施設へ転院した。日齢12に施行された心臓カテーテル検査では肺体血流比2.47,右室圧 53/e5 mmHg,右冠動脈入口部4.6mm,右室への開口部4.0mmの冠動脈瘻が認められ,前下行枝より右冠動脈への側副血行路が確認された。日齢30に瘻孔閉鎖術が行われた。
【考察】先天性冠動脈瘻において新生児期から虚血を呈した例は,報告例においてもごく稀であるが,本例のように肺血管抵抗低下と共に急速に心筋虚血を来す例もある。出生時に無症候性であっても,肺血管抵抗が低下するまで慎重な監視下での管理が必要であると考える。