第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)1
周産期・育児・心理社会支援

Fri. Jul 17, 2015 9:00 AM - 9:45 AM 第7会場 (1F シリウス)

座長:権守 礼美 (神奈川県立こども医療センター)

II-TRO-01~II-TRO-05

[II-TRO-03] 先天性心疾患患児をもつ母親の一般病棟での初めての育児体験~産まれてすぐに母子分離となった1事例を通して~

谷野 麻衣1, 香川 寛子1, 小川 真理子1, 井上 まり1, 山藤 沙希1, 梶清 友美1, 半田 浩美2 (1.岡山大学病院 東病棟2階, 2.岡山大学病院 看護部)

Keywords:先天性心疾患, 母子分離, 初めての育児

【背景】先天性心疾患患児をもつ母親は、育児を行う上で様々な不安を感じやすい。特に複雑心奇形のような、産まれてすぐ開心術を受ける子どもをもつ母親は、母子分離となり術後一般病棟で初めて我が子への育児が始まる。そのため、この時期の育児体験から母親が抱いた思い、考えを理解することは、その後の愛着形成や先天性心疾患患児を育てていくために重要であると考える。【目的】産まれてすぐに母子分離となった先天性心疾患患児をもち一般病棟で初めて育児が始まった1事例の母親の育児体験を明らかにする。【方法】一般病棟で初めて育児が始まった母親1名の初回入院時の看護記録から分析を行った。倫理的配慮として院内倫理委員会の承認を受け、母親に研究の目的や方法、プライバシーの保護、中断の自由、結果の公表について文書と口頭で説明し同意を得た。【結果・考察】先天性心疾患患児をもった母親が一般病棟で初めて行う育児体験から母親が抱いた思い、考えは以下であった。母親は自分の子どもが先天性心疾患であることを受け入れられず<先天性心疾患患児の母親になったことで抱いた苦しみ>があった。そして<子どもが泣くと命の危機と結びつき不安が募る><先天性心疾患特有の世話が負担><思い描いていた育児ができない葛藤>が<育児に向き合う気持ちになれない>と繋がっていた。さらに、自分がどう思われているのか気になり周囲にサポートを求めることができず<子どもだけでなく自分にも気にかけて配慮して欲しい>という思いを抱いていた。そうした母親の思いに寄り添うことで<子どもの状態が安定すると愛着が深まり育児に向き合える>という母親の育児に対する思いに変化をもたらした。そのため、子どもの病態や治療に対する看護援助だけでなく、先天性心疾患患児を初めて育児する母親が抱いた苦しみや葛藤を理解し看護援助を行う必要性が示唆された。