第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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要望演題

1-19 学校保健・疫学・心血管危険因子

要望演題11
児童生徒の心停止、AED

Fri. Jul 17, 2015 4:10 PM - 5:00 PM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
三谷 義英 (三重大学)
檜垣 高史 (愛媛大学)

II-YB11-01~II-YB11-05

[II-YB11-04] 生徒児童を突然死から救うために小児循環器医がなすべきこと:ある一地域で経験した心原性心肺停止の2救命症例より

岡本 吉生 (香川県立中央病院 小児科)

Keywords:心臓検診, 救急蘇生, 学校突然死

<背景>学校現場での心臓突然死はある一定の確率で起こりうる。心肺停止の救命には救命の連鎖と呼ばれる応急処置が重要で、迅速な通報/心肺蘇生法実施/AED/専門的治療の4つの救命の鎖が迅速に機能する必要がある。しかし実際に心肺蘇生が施される割合は50%に満たないのが疫学的な現実である<症例>平成25-26年の2年間で市内の心原性心肺停止の2名の生徒が学校関係者の迅速な心肺蘇生/AED処置によって救命された。症例1は小学校1年生。空手練習中にVfが生じた。基礎疾患はHCMであった。症例2は中学校2年生。体育でマラソン中にVfが生じた。基礎疾患は冠動脈起始異常であった。2症例とも1回のAED作動にて自己心拍回復、後遺症を残すことなく退院<学校心臓検診>症例1は一次検診にて心室肥大疑いとなっていたが精密検診にて異常なしとされていた。症例2は学校検診にて指摘なし、1年前に運動時胸痛を経験するも精密検査にて異常なしとされていた<考察>2症例ともに学校関係者によって迅速な救命の連鎖が機能した。小児心肺蘇生法についてしっかりと習得されていたことが救命に繋がったと考えられた。心肺停止の救命には専門的医療の充実だけでは救命率の改善は期待できない。救命の連鎖の最初のステッップである心肺蘇生法/AEDの実施が機能していることが大前提となる。また学校心臓検診も突然死を来す可能性がある潜在性の心疾患を発見し突然死を未然に防ぐ目的でなされてはいるが、現実的に100%予見することは不可能である。盲点である冠動脈起始異常や運動誘発性不整脈なども常に検診において念頭におくことも重要であるが、我々小児循環器医が非医療従事者への心肺蘇生法をはじめとする小児救急処置の啓発や継続的な教育を地域のリーダーとなりすすめていく必要がある<結語>生徒児童を突然死から救うキーパンソンとして現場の学校関係者は重要で小児循環器医はさらなるサポートを提供する必要がある。