[II-YB12-04] 免疫グロブリン・プレドニゾロン併用療法を行った重症川崎病における不応例のリスク因子の検討
Keywords:川崎病急性期治療, Post RAISE, リスク因子
【目的】RAISE Studyによって,小林スコア5点以上の免疫グロブリン療法(IVIG)不応予測例に対するプレドニゾロン(PSL)初期併用療法(IVIG+PSL)の有効性が証明された.しかし,IVIG+PSLを行っても解熱せず冠動脈病変(CAL)が生じる症例が存在する.このような重症例を検出するためIVIG+PSLに対する不応例のリスク因子を検討した.【方法】川崎病多施設共同前向きコホート研究(Post RAISE)において,小林スコア5点以上でIVIG+PSLを行った症例を対象とした.IVIG+PSLに対し不応・再燃例か否かを目的変数とし,年齢・性別・IVIG開始病日・治療前の血液検査値を説明変数とし,統計解析を行った.【結果】2014年12月までに川崎病2104例が登録,1449例のデータが収集できた.小林スコア5点以上の509例(35%)のうち401例にIVIG+PSLで治療が行われた.不応・再燃は72例(18%),1か月時のCAL合併は19例(5%)に認められた.ロジスティック回帰分析では,単変量・多変量とも好中球%,総ビリルビン値(TB),血小板数(Plt),治療開始病日の4項目が有意なリスク因子であった.好中球%: p = 0.004, OR 1.42 (95%CI 1.12-1.81), TB: p = 0.001,OR 1.39 (1.14-1.70), Plt: p = 0.028, OR0.71 (0.53-0.97), 治療開始病日: p = 0.035, OR 0.78 (0.61-0.98) 好中球85%以上を1点,TB1.3以上を2点,血小板数25万以下を1点,治療開始第4病日以前を1点とし,スコアリングモデルを作成した.ROC曲線下面積は0.71 で,小林スコアの0.63より大きく,スコアのカットオフ値を2点とすると感度68%,特異度71%でIVIG+PSL不応を予測できた.【考察】治療前の好中球%,TB,Plt,治療開始病日は,小林スコア5点以上の重症川崎病に対するIVIG+PSL不応を予測するリスク因子として有用と考えられた.今後,このような重症例に対し,さらに治療法の強化を検討する必要がある.