[III-P-026] 肺動脈閉鎖、BT shunt術後のshunt閉塞に対し、冠動脈用バルーンを使用した再開通術を行い段階的なカテーテル治療でGlenn手術に到達した1例
キーワード:肺動脈閉鎖, シャント閉塞, 冠動脈用バルーン
【背景】チアノーゼ性心疾患の体肺動脈shunt閉塞は重篤な状態に陥りため迅速な対応が要求される。今回、我々はBT-shunt術後のshunt閉塞に対し冠動脈用バルーンを使用した再開通術を行い、以後段階的なカテーテル治療を施行しGlenn手術に到達した症例を経験した。文献的な考察を含め報告する。 【症例】3か月、女児。診断はAsplenia, SRV, CAVC, PA, PDA。日齢44 体重3240gでmodified BT-shunt(3.5mm)施行。日齢48高肺血流により全身状態が悪化したためshuntに対し clippingを施行した。月齢3 SpO2 47%まで低下。心エコーでshunt flow確認できずshunt閉塞と判断し緊急カテーテル検査を施行した。造影でshunt閉塞を確認した。shuntをワイヤーが通過したのでそのままCoyote ES monorail(3.0×20)を使用しバルーン拡張術を施行した。拡張後の造影ではshunt血管のくびれを残していたが再開通が確認できたため終了した。4ヶ月BW4660g 心臓カテーテル検査施行し、shunt血管狭窄に対しIntegrity(3.5×12 ×14)を用いてstent留置術を行った。8ヶ月 心臓カテーテル検査施行。stent狭窄を確認したためSterling MONORAIL(3.5×20)でバルーン拡張術施行。SpO2は術前80%から 87%に改善した。11ヶ月Glenn手術を施行。術後経過は良好である。【考察】BT shunt閉塞症例に対し、段階的カテーテル治療を行い、Glenn手術に到達した症例を経験した。BT-shunt閉塞に対して冠動脈用バルーンを使用した再開通術を行い段階的なカテーテル治療でGlenn手術に到達した1例を経験した。BT shunt閉塞に対するバルーン拡張術が無効であった症例や緊急手術を要した症例の報告もあるが、早期に介入すればカテーテル治療で再開通できることもあり治療のoptionとして考慮されるべきである。