[III-P-041] 新生児期・乳児期早期に発見された上室性頻拍症の5例の検討
キーワード:頻拍誘発性心筋症, 不整脈, 新生児
【背景】 新生児期・乳児期早期の上室性頻拍症は、頻拍が持続し頻拍誘発性心筋症による心不全状態が顕性化してから発見されることが多く、搬送時に生命が脅かされる状態になっていることも少なくない。【目的】 新生児期・乳児期早期の上室性頻拍症の臨床像および予後を明らかにする。【対象】 2007年以降に上室性頻拍症で当院に救急搬送された5例。4例は頻拍誘発性心筋症(TIC)を発症しており、1例は偶然に発見され無症状であった。【結果】 男:女=4:1、発症時日齢19±11、発作時心拍数260±28/分、受診した医療機関は1次救急医療機関2例、2次救急医療機関2例で、1例は入院中。症状はTICの4例は、いずれも顔色不良・哺乳力低下であった。初期症状出現から当院搬送まで42±10時間、心機能回復までの時間24±15時間であった。診断は間欠性WPW症候群3例、潜在性WPW症候群2例。5例のいずれも神経学的後遺症を認めず生存。抗不整脈薬内服で経過観察したが、4例は頻拍発作を認めず経過している。1例のみ1歳以降も頻拍を繰り返し、カテーテルアブレーションを施行した。【考察】 新生児期・乳児期早期に発症する上室性頻拍症は頻拍出現初期に症状が把握できず、心不全等の重篤な症状が出現してから診断・治療される症例が少なくない。頻拍のコントロールにジソピラミドを使用した1例は、後に頻拍を反復しアブレーション治療を行ったが、フレカイニドを使用した4例はコントロール良好でいずれも頻拍を認めていない。フレカイニドは頻拍予防に有効である。【結語】 搬送時に重篤な状態であっても、治療への反応は良好で速やかに回復した。後遺症も認めず、予後は良好である。