[III-P-087] 二心室疾患における右室メカニクス━右室後負荷と、右室・肺動脈カップリング、拡張期スティッフネス、右房圧の連関
キーワード:右室, 機能, カップリング
【背景】先天性心疾患において右室機能は非常に重要だが、その挙動に解明すべき点は多い。同対象では、肺血管床や右室流出路から末梢肺動脈までの狭窄病変による多彩な後負荷が右室にかかり得る。【目的】二心室疾患における右室メカニクスを、右室後負荷と、右室・肺動脈カップリング、拡張期スティッフネス、右房圧の連関から検討する。
【方法】種々の二心室疾患(N=67、中央値2.2歳)の心臓カテーテル検査中に、右室圧・断面積関係を構築した。圧ワイヤーによる圧計測、右室断面積は四腔像で超音波AQ法を用い、負荷変化は下大静脈一過性閉鎖により施行した。右室後負荷指標として収縮末期血圧(Pes)、体格補正動脈エラスタンス(Ea)を用いた。右室chamber stiffness(K)は、拡張期圧変化を体表面積補正一回拍出量で除して求めた。
【結果】対象のPesは43±2 (16-98)mmHgであった。右室後負荷・収縮連関では、Pesと、EaおよびEesは正相関(P<0.005)したが、PesとカップリングEes/Eaおよび右室拍出量には関連はみられなかった。PesはMSWとも正相関した(P<0.0001)。右室後負荷が右室拡張へ及ぼす影響では、Pesは、K (P<0.01)、右室EDPおよび平均右房圧(P<0.0001)と正相関した。
【考察】手術前後を問わず、先天性心疾患右室には様々な圧容量負荷がかかるが、小児期を中心とした検討では、右室は後負荷上昇に対して収縮性を増加して対応してカップリングを保ち、拍出量を維持していた。一方で拡張期スティフネスの増加のため平均右房圧の上昇を要していた。
【結論】小児期の慢性の右室圧負荷は、収縮性上昇と中心静脈圧増加により比較的代償されていた。しかし長期に及ぶ場合の代償・非代償の詳細や、効果的な治療介入による減負荷がどのように右室メカニクスを改善するかは今後の重要な検討課題である。
【方法】種々の二心室疾患(N=67、中央値2.2歳)の心臓カテーテル検査中に、右室圧・断面積関係を構築した。圧ワイヤーによる圧計測、右室断面積は四腔像で超音波AQ法を用い、負荷変化は下大静脈一過性閉鎖により施行した。右室後負荷指標として収縮末期血圧(Pes)、体格補正動脈エラスタンス(Ea)を用いた。右室chamber stiffness(K)は、拡張期圧変化を体表面積補正一回拍出量で除して求めた。
【結果】対象のPesは43±2 (16-98)mmHgであった。右室後負荷・収縮連関では、Pesと、EaおよびEesは正相関(P<0.005)したが、PesとカップリングEes/Eaおよび右室拍出量には関連はみられなかった。PesはMSWとも正相関した(P<0.0001)。右室後負荷が右室拡張へ及ぼす影響では、Pesは、K (P<0.01)、右室EDPおよび平均右房圧(P<0.0001)と正相関した。
【考察】手術前後を問わず、先天性心疾患右室には様々な圧容量負荷がかかるが、小児期を中心とした検討では、右室は後負荷上昇に対して収縮性を増加して対応してカップリングを保ち、拍出量を維持していた。一方で拡張期スティフネスの増加のため平均右房圧の上昇を要していた。
【結論】小児期の慢性の右室圧負荷は、収縮性上昇と中心静脈圧増加により比較的代償されていた。しかし長期に及ぶ場合の代償・非代償の詳細や、効果的な治療介入による減負荷がどのように右室メカニクスを改善するかは今後の重要な検討課題である。