[III-P-113] 右冠動脈起始異常症の6症例のまとめ
キーワード:右冠動脈起始異常症, 冠動脈の先天奇形, 心事故
先天性冠動脈奇形はスポーツ選手の突然死の原因として心筋症についで2番目に多いといわれている。特に左冠動脈起始異常症は心事故のリスクが高いが、右冠動脈起始異常症は無症状で経過する症例から、時に突然死をきたす症例まで様々である。また、スクリーニングで偶然診断された症例や症状があっても心筋虚血が明らかでない症例については明確な治療指針がなく、管理に苦慮することもある。先天性心疾患の合併がない右冠動脈起始異常症6症例について、受診に至った経過、心臓CTの所見、検査、短期予後について検討したので報告する。 対象は2005年から2014年までに心臓CTで確定診断を行った6症例。初診時の年齢は6-17才で平均10.3±3.7才、平均観察期間は5.0±3.0年、受診のきっかけは胸痛が3/6、健診が2/6、1例は同胞でのスクリーニングであった。経過中に胸痛のエピソードが認められたのは4/6であった。その内、心臓CTで冠動脈開口部の狭窄を認めた症例は4/6で狭窄がある症例では胸痛を生じることが多かった。運動負荷心筋シンチグラフィーでは軽微な虚血性変化が2/4に認められたが、再現性は認められなかった。また、胸痛時に虚血性の心電図変化が認められた症例はなかった。2例については胸痛のイベントが複数あったが、胸痛時の心電図で虚血性の変化は認められなかった。現時点で、手術が行われた症例はなかった。 右冠動脈起始異常症では胸痛を生じる頻度が高いが、心電図変化が表れない症例も多い。心臓CTの所見から、胸痛時には何らかに冠動脈の変化が生じている可能性も否定できないため、今後も注意深い管理が必要である。患児と養育者が病状を正しく理解し、過度な運動を強制しないようにすること、症状出現時は速やかに休息するようにこと、急変に備え救急蘇生を確認するように指導することは心事故を予防するために重要である。