第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管⑧

2015年7月18日(土) 11:20 〜 11:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:須田 憲治 (久留米大学)

III-P-117~III-P-121

[III-P-119] 当院における川崎病冠動脈病変に対して冠動脈バイパス術を施行した5症例の報告

杵渕 聡志, 小野 祐國, 近田 正英, 北中 陽介, 大野 真, 古川 浩, 千葉 清, 盧 大潤, 永田 徳一郎, 西巻 博, 宮入 剛 (聖マリアンナ医科大学病院 心臓血管外科)

キーワード:川崎病, 冠動脈, 冠動脈バイパス術

【背景】川崎病における冠動脈病変に対して、狭窄度の進行や虚血症状の出現で外科的治療として冠動脈バイパス術の施行が心筋虚血解除、或いはその予防につながることが広く知られている。急性期のガンマグロブリン療法により冠動脈障害を呈する症例は減少傾向にあるが、遠隔期予後に際して明らかとなっていない部分も多い。今回我々の施設において川崎病冠動脈病変を持つ患者に対して冠動脈バイパス手術を経験したので報告する。【対象と方法】2006年から2015年にかけて、当施設にて川崎病冠動脈病変に対し冠動脈バイパス術を施行した5例(手術時9歳~51歳)の周術期経過と、術後経過例を比較検討する。比較対象項目として生命予後としての心不全の出現、内服コントロール、再発度やグラフト開存度等の器質的予後として画像評価での冠動脈狭窄度で検討した。【結果】バイパス術を施行した4例は術直後グラフト血流の良好な開存を確認していた。内長期経過例2例で数年後一部グラフト閉塞をきたしたことがわかったが、心機能予後が低下することはなく、生命予後に寄与する重症心疾患イベントを引き起こしいない。また心不全管理においても悪化傾向や重症化を引き起こしてはなかった。長期経過例に一致して冠動脈狭窄部位以降のグラフト支配を受ける部位から側副血行路が発達し心筋血流を保っている現象を確認した。【結論】今回生命予後、心機能予後の重要な因子として側副血行路の存在があり、グラフト狭窄例における側副血行路発症例では正常冠動脈と同等の心筋血流量を得たものと考える。経過の短い2例に関して、グラフト開存と側副血行路の発生が今後の観察点に挙げられる。