[III-P-135] Pulmonary cusp and annular extension techniqueによるFallot四徴症根治術;新術式導入後4年までの評価
Keywords:Fallot四徴症, 右室流出路再建, 弁尖温存
【背景】TOF修復遠隔期のPR軽減のために、transannular repairに代わるvalve-sparing RVOTR技術が模索されている。我々が2010年に開始した新しいvalve-sparing法であるpulmonary cusp and annular extension technique (ATS 2014;98:1850-2)の4年の経過を振り返る。【方法】新RVOTR術式を4例(7.8-9.3 kg、生後10-16ヶ月、BTS先行2例)のTOFに適用した。2尖形態が3例、3尖形態が1例で、弁輪径は-2.3~-3.1 SDであった。交連切開の後、主肺動脈切開を前方弁尖の弁腹中央まで下ろし、この切開を右室方向にも15mm延長した。Coaptation zoneと交連部tethering機能は温存し、まず前尖弁腹楔状切開部に楕円形のGA自己心膜片先端をあてて前方弁尖を拡大、この心膜片の横幅(約15mm)で新しい弁輪を作りながら頭側に翻転し主肺動脈を補填した。残る右室小切開部にあてたePTFEパッチの上縁をGA心膜パッチの水平折り返し線に縫着して弁輪を補強した。【結果】術後観察期間は6-50ヶ月で、急性期の経過はいずれも良好であった。3例で心カテ評価(術後4-32ヶ月)を行い、RVOT圧較差は10-22mmHg、PRはI度2例、II度1例であった。肺動脈弁輪は体格相応に成長し、RVOT形態は良好であった。期間中のエコー観察においても、現時点まで危惧すべきPSやPRの発生はない。【考察】新術式は肺動脈弁尖の生理的coaptation/tetheringメカニズムの温存と弁輪拡大を両立し、RVOTは良好な機能を保ちつつ成長し得ると考えられた。但し、初期の弁口面積は交連切開の達成度に依存し、GA心膜による弁尖形成は著しい委縮弁尖や狭小弁輪においては困難であるため、本術式は従来のtransannular repairに完全にとって代わり得るものではない。形成した弁尖やValsalvaの遠隔機能を含めて、慎重に中長期経過を追う必要がある。【結論】提示した新しいRVOTR術式はTOF修復後の肺動脈弁機能を温存し、TOFにおけるvalve-sparing法の適応拡大に寄与する可能性がある。