[III-P-142] 新生児および乳児に対するPAB直後の鎮静の重要性
キーワード:PAB, 周術期管理, 鎮静
【目的】新生児および乳児に対するPAB直後の鎮静の重要性について検討する。【対象と方法】2008年7月~2014年12月に,補助循環非使用下にPAB(+CoA repair)を施行した新生児・乳児18例を対象とし,周術期に徐脈・血圧低下により,ECMO,CPRまたはEpiの緊急投与を必要としたイベント群 (E群)と,非イベント群(N群)に分け,周術期因子について検討した。【結果】18例中E群は5例(ECMO 1, CPR 3, Epi 1)。手術時平均日齢:E群66.8±87.1,N群44.0±42.7,平均体重(kg)E群3.7±1.8,N群3.1±0.8で共に有意差なし。疾患内訳はE群VSD 2, AVSD 2, TGA/VSD 1。N群CoA complex 5, TGA/VSD/PS 2, AVSD 2,その他4 。21trisomy はE群に2例。両群とも死亡例なし。手術時間(分) E群 164±59,N群170±76で有意差なし。PAB周径 (mm)はE群 BW+ (19.8±2.7),N群BW+(19.6±2.3),PAB流速(m/s)はE群3.0±0.7,N群3.3±0.4で共に有意差はなかった。術中フェンタニル使用量,術中ミダゾラム使用量も両群間で有意差なし。PABからイベント発生時までのミダゾラム使用量(μg/kg/min) はE群1.1±1.5,N群2.2±1.4と有意差はないもののE群の方が少なかった。イベント発生はPABから2時間以内が2例,2-5時間が1例,5-8時間が2例。その契機となったものは,自然覚醒が3例,気管内吸引が2例であった。術後SpO2(%)はE群87.6±10.9,N群89.0±5.6と有意差を認めなかった。【結論】PABの程度,及び術後のSpO2 より両群とも適切なPABが施行されていたと考えられる。しかし,E群において,PAB後のミダゾラムの投与量がN群よりも少なく,全てのイベントが術中から術後8時間までに,自然覚醒もしくは気管内吸引を契機として起こっていることから,少なくとも術後8時間は,人工呼吸管理下での十分な鎮静が必須であると考えられた。