[III-S15-01] 日本の学校心臓検診のimpact
Keywords:学校心臓検診, 心電図, 突然死
1. 学校心臓検診の歴史 学校検診の制度は1973年に文部省学校保健法施行規則が改正され「心臓」及び「尿」の検査が必須検査項目として採用されたことに始まる。1994年12月の「学校保健法施行規則の一部を改正する省令の施行及び今後の学校における健康診断の取扱について」の通知により、小・中・高の1年生全員の心電図検査が義務化され、今日に至っている。2. 小児期の突然死、院外心停止 1983年の小・中・高の全児童生徒の学校管理下の死亡率は10万人当たり0.510、2013年は0.123であり、76%の減少を示している。特に義務化から10年程度経過した2003年からの減少が著しい。全国ウツタインデータ2005~2008年からみた心原性の院外心停止数は、小学生242例、中学生186例、高校生271例であり 、対10万当たりに直すとそれぞれ0.842、1.279、1.868になる。同時期の「学校管理下の心臓系突然死」数のそれぞれ12倍、5.3倍、4.4倍にあたる。今後は院外心停止数の死亡率の低下についても検討が必要である。3. 欧米での動き 私たち小児循環器医は“学校心臓検診”が突然死予防に必要なシステムであり、そのために改善を続けなければならないと考えているが、世界的な評価を得ていない。突然死予防のための心電図スクリーニングを評価しているのはイタリアを中心とした欧州のグループであり (Migliore F, et al. Circulation, 2012)、米国は懐疑的である (Rowin EJ, et al. Am J Cardiol, 2012)。その米国が若年者の心電図スクリーニングの必要性を感じたのか、AHA/ACC合同で12-25歳の一般集団の抽出基準値を発表している (Maron BJ, et al. JACC, 2014)。日本のデータをきれいな形で報告できれば、全世界が心電図スクリーニングによる突然死予防に目を向ける。私たち日本小児循環器学会会員の責務と思っている。