[III-S15-04] 群馬県における児童生徒の心臓性突然死・ニアミス例の検討
キーワード:心臓性突然死, ニアミス, 学校心臓健診
【背景】学校心臓検診による心疾患の早期発見・治療、およびAEDの普及で突然死は減少したが、依然として発生している。【目的・方法】県教育委員会から報告された心臓性突然死・ニアミス例の発生状況、既往歴、心臓検診心電図等を検討し現状を把握すること。【結果】平成元年以降43例の心臓性突然死の報告があった。平成12年以前の前半が32例、後半が11例で、event発生は学校管理下が16例、家庭生活下が27例であった。 平成20年以降では4例の心臓突然死があり、診断は肥大型心筋症(HCM)、QT延長症候群、劇症心筋炎、不整脈源性右室心筋症で、劇症心筋炎以外は治療・管理を受けており、学校管理区分ではC、D、E区分がそれぞれ1例であった。Event発生は学校管理下が2例、家庭生活下が2例であった。ニアミス例は9例10件あり、診断はHCM2例、左冠動脈起始異常2例、心室頻拍2例(心室中隔欠損症術後1例、両大血管右室起始症術後1例)、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍1例、QT延長症候群1例、診断不明(AEDで蘇生)1例であった。治療・管理を受けていたのは心臓手術後の2例とHCMの1例で、6例がeventを契機に診断された。6例とも過去に異常を指摘されたことはなく、心臓検診心電図の再確認でも異常は確認されなかった。Event発生は学校管理下が9件、家庭生活下が1件であり、教師によるAEDを用いた蘇生例が4例5件あった。【考察】学校心臓検診の発展、及びAEDの普及で児童生徒の心臓性突然死は大幅に減少した。しかし、心筋症、QT延長症候群など診断・治療・管理の困難な例では、Event発生時のCPRが重要となる。そのためには重症例に関する学校との密な連絡による情報共有も重要と思われる。【結語】突然死の更なる減少のためには、重症例に関する学校との密な連絡による情報共有とCPRの一層の普及が重要である。