[III-TRO-16] 補助人工心臓を装着した患児への支援と課題
キーワード:補助人工心臓, 支援, 成長発達
【背景】重症心不全に対し積極的な治療が行われるようになり、当院では患者数の増加を認めている。その中で補助人工心臓(VAD)を装着せざるを得ない患児も増えているが、その支援方法は報告が少ない。そこで当院での経験を紹介する。【目的】当院におけるVAD装着患児への支援を振り返り、課題を考察する。【方法】2012年1月~2015年1月に入院した患児への支援内容を診療録より振り返った。倫理的配慮として患児の保護者に研究の主旨を口頭や文書で説明し同意を得た。【結果】対象患児は9名であった。当院の方針としてBSA1.0以上の患者に積極的に植込型VADを導入しており、学童後期から思春期の患児6名が植込型VAD(HVAD、EVAHEART、Jarvik)を装着した。多職種でチームをつくり、患児に応じた支援方法を考えツールを作った上で、発達段階や性格を踏まえた病状説明、在宅への移行を目標とした両親を含めた退院指導、就学支援を行った。退院後に思春期を迎え、両親との関わり合いの変化から病識の理解と自己管理力を再認識させるために再入院となった患児もおり、退院後も継続した支援が求められた。乳児期、幼児期の患児3名は体外型VAD(Berlin Heart EXCOR)を装着した。VADを装着しながらも乳幼児期特有の成長発達を妨げない工夫を行った。【考察】患児が装着したVADの機種は様々であり、各機種の理解と確実な操作が支援の前提となる。更に小児においては移植待機期間が長期化する現状にあり、補助人工心臓を装着しながら日々成長発達する患児への長期的な支援が必要である。特に在宅での生活が可能となった学童期以降の患児では、退院後に次の発達段階を迎え改めて病状説明や自己管理への介入を必要としており、退院後の継続的な支援が課題と考える。【まとめ】VADの安全な管理と患児の成長発達課題を達成するための支援を行った。これらの支援は移植待機期間を通して重要であり、継続した支援提供が今後の課題である。