[III-YB13-04] fan-shaped ePTFE valved conduit with bulging sinus のさらなる進化を目指して—新型導管の有効性に関する検討—
Keywords:右室流出路再建術, ePTFE製3弁付き導管, 新型導管
【背景】右室流出路再建術に用いる人工弁素材として我々が作製するePTFE製3弁付き導管について,当初はePTFEグラフトを長軸方向に切開してbulging sinusを圧出形成,弁尖を縫着後に導管状に再縫合するという方法を用いていたが,小口径導管の作製が困難である・導管形状が真円となりにくいなどの問題点を認めたため,2010年に導管を切り開くことなく作製する方法を開発,以後新型導管として使用を開始して現在に至る.【目的】旧型および新型導管の臨床成績を比較し,新型導管の優位性につき検討する.【方法】2002年~2009年作製の旧型導管および2010年以降の新型導管を対象として国内各施設からのアンケート調査をもとに追跡調査を行い,臨床成績と弁機能の評価を行った.弁機能については,旧型では3尖弁としては作製不能であった14mm以下の導管を除外し,口径16-24mmの導管を対象として比較検討を行った.【結果】旧型群は270例, 新型群は294例で14mm以下の小口径の割合は旧型群で4.4%,新型群で43.2%.手術時年齢・体重は旧型群で8.0±8.1歳・23.4±18.6kg、新型群で6.5±8.3歳・18.5±16.4kg.平均観察期間は旧型群3.7±2.2年, 新型群1.5±1.1年.弁関連死亡はいずれの群にも認めず,弁不全に起因する再手術は旧型群で1例(術後5.3年時に導管狭窄に対するPVR),新型群で2例(成長に伴う相対的狭窄)を認めた.moderate以上の弁逆流を示したものの割合は旧型群3.1%, 新型群3.9%(p=0.23)と有意差を認めず,弁における圧較差は旧型群 22.3±15.2mmHg, 新型群 17.5±13.6mmHg( p<0.001)で新型群が有意に低かった.【考察】新型導管の導入により小口径であっても3尖弁化が可能となり,有意に小口径導管の使用症例数が増加していた.一方で,新型導管の弁機能は満足のいくもので,特に弁における圧較差を有意に減少させており,新型導管の有用性が示唆された.