[III-YB14-04] 内蔵錯位症候群の冠動脈
キーワード:内臓錯位症候群, 冠動脈, 起始異常
【目的】先天性心疾患患者が成人期の問題を発症している。虚血性心疾患も一つであり、冠動脈の解剖が重要であるが、複合心奇形での報告は少ない。内臓錯位症候群の冠動脈を検討した。【対象】2011年から2014年に冠動脈造影をおこなった内臓錯位症候群13人。無脾症3人、多脾症10人。2心室症例が9人、右心性単心室4人。【方法】三尖弁、僧帽弁をもつTVMV群、共通房室弁で2心室構造を持つCAVV BV群、一方の心室が痕跡的であるSV群にわけた。各群で弁輪と冠動脈、起始異常に関して検討。単心室の共通房室弁では弁輪右側と左側を走行する冠動脈をそれぞれ右側冠動脈、左側冠動脈とした。単心室に関しては、内蔵錯位症候群を伴わない(正位)右室性単心室と比較した。【結果】1、TVMV群(3例)2例で左右冠動脈を確認。1例左冠動脈を認めず、前壁を走行する低形成冠動脈を認めた。起始異常はなし。2、CAVV BV群(6例)5例に左右冠動脈を確認。1例は左冠動脈を認めず、前壁を走行する低形成冠動脈を認めた。4例で単冠動脈を認めた。3、SV群(4例)全例で共通房室弁輪の左右を走行する左側、右側冠動脈を有していた。1例で左側、右側冠動脈が同一冠尖から起始するdouble orifice、1例で単冠動脈を認めた。これに対し正位右室性単心室の4例は、(一側房室弁閉鎖2例、両側房室弁右室挿入2例)、2/4例で弁輪を走行する冠動脈は1側のみであり、対側の冠動脈は低形成で自由壁を走行するのみであった。【結論】内臓錯位症候群の冠動脈は心室形態に関わらず単一冠動脈、double orificeなどの起始異常を多く認めた。2心室を持つ場合に、冠動脈の一側の低形成があるのに対し、単心室、共通房室弁では両側の冠動脈の形成が保たれていた。これは正位右室性単心室で一側の冠動脈低形成を認めることがあることと相違しており、特徴的所見の可能性がある。