[ML01-01] Atrial Isomerismの外科治療成績向上のためのStrategy:346例の後方視的検討
Keywords:heterotaxy, isomerism, surgery
背景単心室修復の治療成績は治療ストラテジーの進歩により改善したが、いまだに心房相同を伴う心疾患の治療成績は他の疾患と比較して良好とは言えないのが現状である。当センターにおける346例の心房相同症例について後方視的にレビューし予後に係る因子について検討した。対象1978年から2012年まで当センターで外科治療介入した右側相同(Right Atrial Isomerism (RAI)は241例、左側相同(Left Atrial Isomerism (LAI))は105例であった。309例でフォンタン型単心室修復が適応と考えられ、37例で二心室修復が適応と考えられた。全体で244例が耐術し生存した。結果手術死亡がRAI群で39(16.2 %)例、5(4.7 %)認められた。これらの死亡を1990年まで、200年代、2001年以降の3つの時期に分けて検討した。手術死亡はこれらの時期でそれぞれ17%,7%,2% と改善を示し、現在までの遠隔死亡は13%, 7%, 2%とやはり改善していた。初回手術介入時年齢はそれぞれ1.59歳、0.94歳、0.22歳と早期介入の治療戦略となっており、初回外科的介入の術式で体肺動脈シャントの割合は50%, 33%, 23%と減少している。逆に初回外科的介入の術式が両方向性グレンである割合は2%, 10%, 17% と増加している。初回姑息手術後の酸素飽和度は最初の時期で最も高く、最近の時代で一番低い。フォンタン型手術への到達率は23%, 38%, 51% と改善してきている。死亡に関与する因子は初回外科介入でのTAPVC修復術(P< 0.001)と中等度以上の房室弁逆流(P<0.02)であった。これらの二つの要因のある症例では時代で死亡率に差が無かった。結語心房相同の治療成績は未だに満足いくものではないが、我々の後方視的検討からは早期からLow flow strategyを取ることで心室の負荷を早くから取り除くことで房室弁逆流の発生を予防したことが予後を改善した可能性が示唆される。