[TRES02-01] ドナーコーディネーターの役割と実際
ドナーコーディネーター(CO)には、院内COと都道府県CO、ネットワークCOがある。その活動は、日常の啓発業務から臓器提供の希望があった場合のあっせんまでと幅広い。あっせん時は、患者及び家族の意思尊重、家族ケア、主治医・担当看護師への協力、支援、病院内の調整、病院外の各機関との連絡調整などを行う。特に初動において適応の判断が行われ、家族に臓器提供の選択肢提示が行われる場合と、家族の申し出によって提供の過程が始まる場合は留意するポイントが変わる。また、病院の臓器提供経験数、臓器提供支援のための組織の有無によってもマネージメントは変わる。小児の臓器提供の場合では、虐待の否定の確認に大きなエネルギーを必要とする。児童相談所や警察と連絡をとり、司法解剖の対象ではない事を確認。院内で実施する虐待防止委員会や倫理委員会への準備も行が行われる。こうした場面への支援も必要に応じ行う。また、法的脳死判定では、成人との違う部分を明らかにし、判定が円滑に行えるようにサポートを行う。そして、家族ケアにおいては、関わるスタッフで家族の状況を多面的に捉え、アセスメントとディスカッションを繰り返し、チーム医療を実践していく。スタッフケアの観点から見た場合、小児の臓器提供は社会的に注目度が高く、守秘義務を意識下に、緊張を強いられる中で医療が展開されていく。脳死下臓器提供では死亡時間、摘出時間、退院の時間が概ね予測が付くという、通常とは違った状況となる。こうした事柄に対して、説明を行い、その場に立ち会う心の準備ができる情報提供も必要である。つまり、COの役割は、適正な医療の実施である。連続的な医療の中で訪れた終末期において、患者と家族の意思の尊重が行え、多角的な組織展開を行う事が求められている。