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[I-OR105-01] 多脾症候群の臨床像及び予後
Keywords:多脾症候群、予後、肺動静脈瘻
【背景・目的】多脾症候群の臨床像や予後を検討した報告は少なく,今回の目的は臨床像や予後を明らかにすることである.【方法】2004~2015年までに当院に入院歴及び外来通院歴のある多脾症候群の患者50人を対象に後方視的に検討した.【結果】男性25人,女性25人.年齢(中央値)13.0歳(0.1~54.8歳).観察期間(中央値)6.9年(0.1~33.3年).合併する心奇形は房室中隔欠損症(66%),左心低形成疾患(16%),両大血管右室起始症(32%),肺動脈閉鎖症及び狭窄症(42%),下大静脈欠損(90%),両側上大静脈(44%).合併する不整脈は洞不全症候群(34%),完全房室ブロック(20%),上室性の頻脈性不整脈(14%).ペースメーカー植込み術は17例(34%)に施行.修復術後に肺動脈性肺高血圧症を合併した症例は4例(8%).心外合併症として、治療を要した消化器疾患は十二指腸閉鎖などの6例.手術は二心室修復術24例,Fontan適応症例25例.Fontan群の内訳はTCPC到達が18例,BDG待機中が2例.Fontan群の合併症は、肺動静脈瘻をTCPC到達例のうち10例(56%)認め、TCPC手術前発症(PAVFpreF群)は4例,TCPC手術後発症(PAVFpostF群)は6例.PAVFpreF群の4例に対しTCPC手術、PAVFpostF群の5例に対しTCPC再手術を施行し、5例に改善を得た.リスク因子として,PAVFpreF群ではBDG手術後のHepatic factorの欠如期間が長いことが考えられた。PAVFpostF群では,PAVF(-)群と比べて肺動脈平均圧(14vs10mmHg:p=0.012)と肺動脈楔入圧(10vs6mmHg:p=0.011)が有意に高値であった.生存率は二心室修復群で5年96%,10年96%. Fontan群は5年88%,10年84%.死亡した7例は心原性3例,感染症・敗血症3例,消化器疾患1例. 死亡したFontan群5例のうち4例はBDG手術前であった.【結語】TCPC到達できた多脾症候群の予後は比較的良好で,死亡はBDG手術前が多かった.TCPC手術後に肺動静脈瘻を合併した症例では肺動脈平均圧及び肺静脈楔入圧の上昇している症例が多かった.