第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

複雑心奇形

一般口演1-05(I-OR105)
複雑心奇形

2016年7月6日(水) 17:15 〜 18:15 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
土井 拓(天理よろづ相談所病院 先天性心疾患センター)
脇 研自(倉敷中央病院 小児科)

I-OR105-01~I-OR105-06

17:15 〜 18:15

[I-OR105-05] 左心低形成症候群に対するprimary Norwood手術-手術成績向上のためのRV-PA shuntによるNorwood手術連続138例の検討-

笠原 真悟, 佐野 俊和, 堀尾 直裕, 小林 純子, 石神 修大, 藤井 泰宏, 黒子 洋介, 小谷 恭弘, 新井 禎彦, 佐野 俊二 (岡山大学医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)

キーワード:左心低形成症候群、段階的手術治療、ノーウッド手術

【はじめに】1998年以降一貫してRV-PA shuntによるPrimary Norwood手術(P-N)を基本としている。大動脈再建方法の経年的工夫や肺血流調節の工夫なども成績の改善に寄与している。一方でHybrid治療が行われ、その段階的治療成績も報告されつつある。近年、胎児診断の向上や搬送などにより、high risk症例に対して当院でも新生児期のNorwood-Sano(N-S)手術を回避し、PABにより救命できなかった症例に対しても成績が向上したことは事実である。しかしながら、P-Nの方針は揺るぎない。【対象】HLHSおよび関連疾患で N-S手術対象の138例で、そのうち104例はP-N手術であった。在胎週数37週未満、体重2.5kg未満さらに三尖弁閉鎖不全(TR)は死亡率が高く、P-N手術の方針を変更してきた。平均手術日齢は中央値9(0-170)日、体重は中央値2.74(1.1-3.9)kgであった。【方法】術前肺血流制御のための呼吸器、窒素吸入を行った。人工物を用いない大動脈再建とRV-PA shuntとして手製cuff付のPTFE conduitの使用し、2011年からはリング付きグラフトを使用した。全症例にFenestration作成を行った。肺血流制御としてclippingの使用とinter-stageでのバルーンカテーテルによる拡大術を行った。BDG手術はN-S手術後6.3±2.3ヵ月後に行い、SaO2が75%以下、低肺動脈発育の症例62例(70.3%)にはAdditional flowとしてRV-PA shuntを残存させた。TCPCは平均年齢30.2±7.6ヶ月でおこなった。【結果】連続138例中2nd stage へ120例(87%)が到達した。105例が2nd stage を終了し、94例がTCPCに到達した。TCPC後遠隔期に3例の死亡を経験した。Kaplan-Meier法の生存曲線では3ヶ月91%、12ヶ月82%、24ヶ月84%3、36ヶ月77%、さらに最終の212ヶ月では76%であった。【まとめ】当院のP-N手術の成績から、この手術の肯定の立場より、新生児期での体外循環の是非、入院期間、繰り返されるカテーテル治療の是非,さらには長期遠隔成績を含め議論したい。