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[I-OR113-01] イオンチャンネル病の遺伝子検査の有用性
キーワード:遺伝子変異、QT延長症候群、イオンチャンネル病
【背景・目的】QT延長症候群(LQT)・Burgada症候群(Bur)などのイオンチャンネル病に対する遺伝子検査は、近年積極的におこなわれる様になった。【対象・方法】当科でイオンチャンネル病が疑われ、遺伝子検査を行った34家系を対象とした。遺伝子検査について文書・口頭で説明し、書面で同意を得た後に、EDTA採血を行った。検査は滋賀医科大学・京都大学に依頼した。遺伝子検査の結果から、遺伝子変異の陽性率・遺伝子型と臨床症状・遺伝子検査の有用性、について検討した。【結果】遺伝子検索を行ったproband(P)34名中、P同士が親戚であることが判明したのが2家系あり、32家系の検索となった。LQTは29家系(1家系はBurとoverlap)・Burは3家系・QT短縮症候群(SQT)が1家系であった。遺伝子変異が同定されたのは、LQT1; 15名、LQT2; 8名、LQT3; 6名、Bur; 2名、変異が同定されなかったのは8名(LQT;6, Bur;1, SQT;1)、検索中;1名であった。Multiple mutation;(M.M.)が4名、Compound mutation(C.M.)が1名であった。P同士が親戚であった2家系は、LQT1 の家系が9/13で遺伝子変異が同定され, LQT3の家系(C.M.かつ Burとのoverlap)が6/7で変異が同定された。失神の既往は11名(LQT1; 4, LQT2: 4, M.M; 2, Bur; 1)で、複数回の失神は6名(LQT1; 1, LQT2: 4, M.M; 1)で認められた。内服後に失神を起こしたのは4名(LQT1;1 , LQT2;3)で、LQT2の2名は心肺蘇生を要している。休薬・怠薬中に失神を起こしたのは2名(LQT2;1、M.M.; 1)であった。家族が失神発作を起こした家系はないが、SCN5A C.M.の1家系で (p.E1784K, c.G5350A)の変異を認めた父親がBurgada症候群としてICD植え込みを行っている。【考察】Multiple mutataion・LQT2で、心肺蘇生を要する重篤な失神・繰り返す失神が認められた。今後、変異部位・複合変異の有無などで重症度の予測が可能となり、治療方針の一助となることが期待される。