10:15 〜 11:05
[I-OR113-04] 先天性心疾患術後の接合部頻拍にはアミオダロン、あるいはニフェカラントか?
キーワード:接合部頻拍、薬物治療、周術期管理
背景:先天性心疾患の術後に接合部頻拍(JET)をしばしば認め、管理に難渋することがある。今回アミオダロン(AMD)とニフェカラント(NIF)の有効性、副作用について比較・検討した。方法:2011年から2015年に当院で薬物治療を行ったJET14人、のべ15例を対象とした。AMD, NIFの二群に分け、基礎心疾患、JET rate (JR)、投与3時間でのJR, 収縮期血圧(BPs)の変化、有効性、FQTcの変化、致死的不整脈の発生、副作用、併存薬剤について後方視的に検討した。有効性は使用薬剤によって徐拍化が得られたものとした。結果:15例中AMD10例、NIF5例。疾患は各群とも単心室循環姑息術後から二心室循環心内修復術後まで多様であり、併用強心剤の使用率に差はなかった。体重、薬剤投与前のJRに差はなかった(体重 NIF 3.3kg, AMD 6.5kg (p=0.08), JR, NIF190bpm, AMD187bpm (p=0.73))。投与3時間でのJR、BPsの変化率はそれぞれNIF-21%, AMD-10% (p=0.057)、NIF+35%, AMD+15% (p=0.35)であった。投与3時間での徐拍化がNIFで得られる傾向であった。有効性はNIF全例(5/5), AMD1例無効、1例評価困難、8例有効であった。AMD無効例でNIFが有効であった。FQTc変化率はNIF+24%, AMD+1%とNIFでQTcが有意に延長した。NIF群で投与後の血圧低下、心室頻拍などは見られなかった。AMD群で投与後の血圧低下で再開胸、Vf、肝機能障害を1例づつ認めた。結語:先天性術後のJETに対してNIFがAMDに比べ有効性、安全性とも優る傾向にあった。NIFについてはQTcが延長するためTorsade de Pointsの発生に注意する必要がある。またAMDについては10mg/kg/24hrでの投与であり、投与方法の変更で有効性が変わる可能性がある。