第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

電気生理学・不整脈2

一般口演1-14(I-OR114)
電気生理学・不整脈2

2016年7月6日(水) 11:10 〜 11:50 第B会場 (天空 センター)

座長:
塩野 淳子(茨城県立こども病院 小児循環器科

I-OR114-01~I-OR114-04

11:10 〜 11:50

[I-OR114-02] 先天性QT延長症候群におけるT-wave alternansとTdPとの関連性の検討

後藤 浩子1,2, 高杉 信寛3, 寺澤 厚志1, 山本 哲也1, 面家 健太郎1, 桑原 直樹1, 桑原 尚志1 (1.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター 不整脈科, 3.岐阜大学医学部附属病院 循環器内科)

キーワード:long QT syndrome、T-wave alternans、TdP

【背景】T-wave alternans(以下TWA)は先天性QT延長症候群(LQTS)において、Torsade de Pointes(TdP)前に認められる特徴的な現象である。しかしながら、TWAの陽性率やTdPとの関連性についての報告は少ない。
【目的】LQTS患者においてTWA解析を行い、TWA陽性率やTdPとの関連性を検討する。
【対象】遺伝子検査で確定しているLQTS患者のうちTWA解析を行った26名(男10、女16)。遺伝子型はLQT1(18)、LQT2(4)、LQT3(4)。既往はTdP(以下T群)(5)、non-TdP(以下NT群)(21)。
【方法】12誘導ホルター心電図検査を24時間行い、TWA解析を指標評価し、またPeak TWA時RR、QT時間、T波の形状についてT群とNT群との間で比較検討した。
【結果】全患者のTWA陽性(≧42μV)率は17/26(65.4%)でT群:5/5(100%)、NT群:12/21(57.1%)。感度100%、特異度42.8%、陽性的中率29.4%、陰性的中率100%。Peak TWA時QTはT群:534.4±89.8msec、NT群:446.1±76.3msec(P=0.01)。RRはT群:885.4±169.0msec、NT群:750.9±206.5msec。QT/RRはT群:0.614、NT群:0.614と同値であった。T波の形状ではNotched TwaveはT群:5/5(100%)、NT群:11/21(64.7%)(P=0.025)。TWPA(T-wave polarity alternans;極性変化を伴う)はT群:2/5(40%)、NT群:2/21(9.5%)(P=0.04)。また、TWA陽性は12誘導心電図のうちV2誘導で最も多く認められ、ついでV3、V4誘導であった。TWAとTdPの関連については、TWA陰性患者ではTdPリスクが少なく、一方TdP既往患者では全例TWA陽性であり、TWA出現時のRR時間、QT時間とも長かった。
【結語】LQTSにおけるTWAは陰性的中率が高く、Tdpのリスクの少ない患者の判定に適していると思われた。また、TdP患者ではTWA陽性率が高く、non-TdP患者に比べると徐脈かつQT延長時にTWAが出現しやすいことが判明した。TWAはLQTS患者のリスク判断に有用であり、今後さらなる症例の蓄積と経過観察が必要と思われた。