第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達1

一般口演1-19(I-OR119)
術後遠隔期・合併症・発達1

2016年7月6日(水) 14:35 〜 15:25 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
松裏 裕行(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

I-OR119-01~I-OR119-05

14:35 〜 15:25

[I-OR119-02] Fontan術後患者の中心静脈圧上昇の原因と弊害

岩澤 伸哉, 浜道 裕二, 堀本 佳彦, 桑田 聖子, 齋藤 美香, 石井 卓, 稲毛 章郎, 中本 祐樹, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児科)

キーワード:フォンタン、中心静脈圧上昇、術後遠隔期

【背景】Fontan循環を成立させるため、また循環成立後の中心静脈圧上昇を避けるため、肺血管床に対して、内科的、外科的工夫を行っている。しかし、なおFontan術後に中心静脈圧が高い症例が存在する。中心静脈圧が高い症例では、腹部臓器に対する影響が懸念される。【目的】Fontan術後患者の中心静脈圧上昇に関与する因子、及び圧上昇が腹部臓器に及ぼす影響について検討した。【方法】対象は2010~2015年に血行動態を把握するために心臓カテーテル検査を施行し、上大静脈圧が16mmHg以上と高値であったFontan患者の27例(HSVCp群)。対照群として同時期に心カテを施行しているFontan149例を用いた。まずHSVCpに関与する因子およびHSVCpの腹部臓器への影響を検討した。【結果】カテ年齢、Fontan術年齢、Fontan術からカテまでの期間は、HSVCp群と対照群で差がなかった。coil塞栓、経皮的肺動脈バルーン拡大術、横隔膜麻痺の既往は両群間で差がなかった。カテ時点の内服薬では、肺血管拡張薬、抗心不全薬の使用率は両群で有意差はなかった。fenestrated Fontanの有無も両群間で差がなかった。肺動脈Index(256 vs. 238 mm2/m2)も両群間で差がなかったが、肺血管抵抗(1.89 vs. 1.56 U・m2)、肺動脈楔入圧(11.8 vs. 6.4 mmHg)、心室拡張末期圧(13.6 vs. 7.8 mmHg)はいずれも両群で有意差を認めた。2度以上の房室弁逆流を有する例もHSVC群では有意に多かった。大動脈酸素飽和度は低下(89.8% vs 92.7%)し、NT-proBNPは高値であった。HSVCp群では肝機能を示す指標として、有意に総ビリルビンは上昇し、総蛋白、アルブミン値は低下していた。クレアチニン、尿素窒素、尿酸値は両群で差がなかった。【結語】Fontan循環が成立した後の中心静脈圧上昇に肺動脈indexや関与しない。肺血管抵抗や体心室の負荷の影響が大きいことが示唆された。HSVCp群では腎機能低下はなかったが、肝障害を認めた。