第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達1

一般口演1-19(I-OR119)
術後遠隔期・合併症・発達1

2016年7月6日(水) 14:35 〜 15:25 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
松裏 裕行(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

I-OR119-01~I-OR119-05

14:35 〜 15:25

[I-OR119-04] フォンタン術後の肝臓超音波所見―Virtual Touch Quantification測定の意義

荻野 佳代, 河本 敦, 小寺 達朗, 松本 祥美, 水戸守 真寿, 上田 和利, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 小児科)

キーワード:フォンタン、肝臓超音波、肝硬度

【はじめに】フォンタン術後の合併症のひとつに肝障害があり、肝線維化や肝硬変、肝癌との関連性が注目されている。ウィルス性肝炎などの成人領域においては、肝線維化診断のひとつとして超音波を利用した肝硬度測定の有用性が報告されている。今回我々は、肝組織硬度の指標のひとつであるVTQ(Virtual Touch Quantification)の測定を行った。その他の肝臓超音波所見と、心臓カテーテル、血液検査所見との関連性につき検討した。【対象および方法】1993年から2011年にフォンタン手術に到達した症例のうち、VTQの測定を行った26例を対象とした。測定にはシーメンス社製ACUSON S2000を用いた。年齢9-64歳(中央値15.5歳)、男性20例、女性6例。またその他の肝臓超音波所見として、(1)肝腫大、(2)肝辺縁の鈍化、(3)実質の高輝度、(4)実質の粗雑・不均質、(5)5mm以上の斑状高輝度スポットの有無をスコア化した。これらと血液検査所見(TP、Alb、ALT、ChE、γGTP、T-Bil、P3P、4型コラーゲン7s、ヒアルロン酸、Plt)および心臓カテーテル検査所見(下大静脈圧および心係数)との関連性を検討した。【結果】VTQで計測される剪断弾性波伝播速度(velocity of shear wave: Vs)は2.16 ± 0.45 m/sであった。Vsは下大静脈圧と正の相関を示した(p=0.038)。Vsと他の肝臓超音波所見および血液データとは有意な相関はみられなかった。【考察】成人領域の慢性肝疾患においては、線維化の進行と共にVsが高値となることが報告されている。今回の検討でVsと下大静脈圧とに相関がみられたことから、静脈圧がVsに及ぼす影響についてさらに検討が必要である。【結語】肝硬度の指標であるVTQはフォンタン術後の下大静脈圧に有意に相関した。肝線維化との関連性についてはさらなる検討が必要である。