第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

周産期・心疾患合併妊婦

一般口演1-23(I-OR123)
周産期・心疾患合併妊婦

2016年7月6日(水) 14:35 〜 15:35 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
高橋 実穂(筑波大学医学医療系 小児科)

I-OR123-01~I-OR123-06

14:35 〜 15:35

[I-OR123-02] 先天性心疾患をもつ経産婦の周産期リスクの検討

山崎 啓子1,2, 宗内 淳2, 新原 亮史1,3, 坂本 一郎3, 山村 健一郎3, 樗木 晶子1 (1.九州大学医学研究院 保健学部門, 2.九州病院, 3.九州大学病院)

キーワード:成人先天性心疾患、妊娠・出産、周産期リスク

【背景】医療の進歩に伴い、様々な先天性心疾患(CHD)をもつ女性の出産が増え、妊娠・出産を繰り返す機会も増えてきている。
【目的】CHD女性が妊娠・出産を繰り返すことでの周産期リスクを検討した。
【方法】成人先天性心疾患患者の周産期管理実施2施設で2009年1月から2015年8月の間に2回の妊娠・出産を経験した女性9名(妊娠前NYHA心機能分類:1)の診療録調査を行った。
【結果】対象者のCHDは、完全大血管転位(D-TGA:3)/完全型房室中隔欠損(AVSD:2)/不完全型房室中隔欠損(partial-AVSD:1)/心室中隔欠損(VSD:1)/単心室(SV:1)/大動脈二尖弁:1であり、大動脈二尖弁の患者は手術をせずに経過観察されていた。初産年齢は24.6±4.0歳、平均出産回数:2.4±1.0回、出産間隔は26.9±6.2ヶ月であった。本調査の1回目と2回目での出産時年齢、BMI、在胎週数に有意差はなかったが、児の出生体重は1回目(2713.2±425.6g)より2回目(2572.1±566.7g)がやや軽い傾向にあった。妊娠初期と妊娠後期、産後のLVEDd/LVESd/LAD/EFは、1回目と2回目でその変化に有意差はなく、またBNP値も1回目と2回目で有意な変化はなかった。妊娠前から強心剤を内服していた体心室機能が右心室である2名(SV, TCPC術後:1、D-TGA, Mustard術後:1)は1回目・2回目とも周産期に心不全症状が出現し、利尿剤や強心剤を用いて治療を行っていた。
【結語】本症例においては妊娠・出産を繰り返すことで心エコー指標やBNP値の悪化は見られなかったが、周産期に心不全が出現した体心室機能が右心室である患者では、次の妊娠・出産においても周産期に心不全が出現する可能性が高いことが示唆された。