第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演1-24(I-OR124)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

2016年7月6日(水) 14:35 〜 15:55 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
中山 智孝(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
稀代 雅彦(順天堂大学医学部 小児科・思春期科学教室)

I-OR124-01~I-OR124-08

14:35 〜 15:55

[I-OR124-04] 肺動脈性肺高血圧における喀血に関連するリスク因子の後方視的検討

池原 聡, 高月 晋一, 直井 和之, 中山 智孝, 松裏 裕行, 佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院)

キーワード:肺高血圧、喀血、リスク因子

【背景】喀血は小児期発症の特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症(Idiopathic/ Heritable pulmonary hypertension:I/HPAH)においては約10%と報告されており、致死的要因となりえる。喀血のリスク因子として疾患重症度、罹病期間が推察されるが、それらに関する報告は少ない。【目的】喀血に関連するリスク因子を後方視的に検討する。【対象と方法】1998年以降に当院で加療しているI/HPAH82症例。発症時年齢の中央値は9歳、男:女 44: 38、IPAH64例、HPAH 19例(BMPR2:10例、ALK1:6例、smad8:1例、不明:2例)、WHO FC II 20例、WHO FC III or IV 62例、当院初診時未治療が50例、単剤が20例、多剤併用療法が12例。喀血の有無で2群に分け検討した。検討項目は患者背景(発症年齢、遺伝性、NYHA FC、6MWD)、血液検査(Plt、PT-INR、BNP)、血行動態指標(mPAP, PVRI, Rp/Rs, CI)、治療内容(epoprostenol(epo)使用の有無)。【結果】観察期間の中央値は7.6年で喀血は82例中13例(15.9%)にみられた。死亡は15例(18.3%)、移植は6例(7.3%)で、死亡の6/15(40%)が喀血群で、2例が喀血死であった。初発症状が喀血だったものは2例、喀血群の発症時年齢の中央値は7歳、診断から喀血までの期間は3.2年であった。女児が8/13(61.5%)、遺伝性は6/13(46.2%;BMPR2: 2例、ALK1: 3例、不明: 1例)、WHO FC IIは3/13(23.1%)、epoが使用された症例は2/13(15.4%)、喀血時のPlt数の中央値は16.4万、INRは1.1であった。非喀血群と比較すると、発症時年齢(7歳vs 9歳;p=0.07)、疾患重症度に統計学的に差はなかった(mPAP(74mmHg vs 66mmHg;p=0.08、Rp/Rs(0.87 vs 0.92;p=0.35)が、喀血群ではHPAHが有意に多かった(46.2%vs 17.4%;p<0.05)。【結語】喀血は従来報告されているより発生頻度は高く予後は不良で、非喀血群と比較し診断時の肺血行動態には差はなかったが、HPAHにおいてリスクが高かった。