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[I-OR129-01] 学校管理下における肥大型心筋症患児の死亡事例の分析-最近10年間のまとめ
Keywords:肥大型心筋症、突然死、自動体外式除細動器
【目的】肥大型心筋症(HCM)は学校管理下突然死の主要な原因の一つであり、最近の救命活動による予後変化については一昨年の本学術集会で報告した。その後、直近2年間の報告を累積し10年間のデータとして死亡事例の特徴を再度分析検討した。【方法】対象は2004年から2013年の10年間に日本スポーツ振興センターが管轄する学校災害共済給付制度に報告された死亡事故例中、原因がHCMと判断された事例である。男女比、学校種、心事故発生の状況などを検討した。【成績】調査期間中の全死亡事例1202例中、突然死は379例であり、そのうち心臓系突然死は243例であった。HCMを原因とする心事故の死亡例は34例(心臓系突然死の14.0%)であった。年次推移では、2004年~2010年までは2009年の2例を除き年間3~6例あったが、2011年~13年の死亡数は年1~2例に留まった。男児が28例 (82.4%)であり、学校種では高等学校が17例 (50%) であった。20例 (58.8%) で心肺蘇生を受けていることが確認された。16例 (47.1%) で自動体外式除細動器 (AED) の装着が確認できたが、除細動の有無まで確認できた事例は7例で、そのうち5例が通電していた。心事故の発症状況は、運動中が18例 (53.0%) であった。18例が事前にHCMと診断され運動制限を受けていたが、ICD植え込みが行われていた事例はなかった。【結論】2004年に非医療従事者によるAEDの使用が認められ、2007年以降はHCMを原因とする心停止からの蘇生成功例が報告されるようになった。年次推移からは、2011年以降に減少傾向が明らかになった。今回の資料のみでは、心停止の機序か不明な点もあり、胸骨圧迫、AEDの適切な実施手順や、生活管理、ICDの適応などについて、細部を分析し改善点を考察する必要があると思われる。