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[I-S04-03] 小児の頻脈性不整脈を対象としたランジオロールの前向き多施設共同治験(HEARTFUL study);小児の臨床試験立案の経験から
【背景】心機能低下例における頻脈性不整脈の持続は,心機能を更に低下させ,血行動態を悪化させる.特に,先天性心疾患開心術後の頻拍性不整脈は重篤で致命的となる場合がある.このような症例の心拍数を適切にコントロールし,血行動態の安定をはかることは,臨床上重要と思われる.しかし,本邦において,小児での適応が承認されている抗不整脈薬は少ない.ランジオロールは半減期が約4分の短時間作用型のβ1選択的遮断薬であり,2013年に成人の心機能低下例における頻脈性不整脈の適応が効能追加された.しかし,小児のランジオロールの薬事承認は取れておらず,有効性及び安全性に関する情報が乏しい状況下で使用されているのが現状である.【目的】小児におけるランジオロールの薬事承認を目指すため,小児の心機能低下例における頻脈性不整脈(心房細動,心房粗動,上室頻拍)に対するランジオロールの有効性及び安全性について検討する.【方法】本試験のデザインは前向き多施設共同非盲検試験であり,目標被験者数は25名とした.有効性の指標は心拍数とし,治療成功の基準を投与開始2時間後における20%以上の徐拍化又は洞調律への復帰とした.【結果】小児の心機能低下例における頻脈性不整脈を対象とした臨床報告に基づき,小児の臨床推奨用量幅を設定した.PMDAとの治験相談を経て,2015年4月に治験計画届を提出した.【考察】小児循環器領域では従来臨床試験の実施が困難とされており,治験を実施して薬事承認を得た医薬品は少ない.臨床試験立案時に苦慮した点として,年齢層ごとに異なる小児用の臨床検査値等の基準値の設定,対照薬の設定,実施可能な目標症例数の設定,薬物動態採血などが挙げられる.