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[I-S06-05] 胎児診断のピットフォールから学んだこと
<背景>胎児心エコーで心室形態の判断はさほど困難ではないが、二心室でアンバランスな心室容積やそれに伴う弁輪径などの評価は容易ではない。また、胎児診断されることが多くなったHLHSでは、帝王切開などを計画する必要があり、胎児診断の間違いは分娩様式のミスリーディングにも繋がる。従って、動脈管を含む大血管さらに肺静脈の評価が重要であり、正確な診断によって母児の安全なコーディネートに繋げることがまさに胎児診断の意義となる。<目的>胎児診断のピットフォールと考える症例の経験を振り返り今後に繋げること<対象>4症例<結果>症例1:胎児診断HLHS→出生後HLHS。妊娠29週4日肺静脈(PV)血流は竹田津分類C型と判断。両親が治療拒否しday7退院,day15在宅死亡。症例2:胎児診断HLHS→出生後HLHS。妊娠37週2日PV血流は竹田津分類C型と判断。day0 BAS,day2両側PAB,day3 reBAS,day7Norwood+ASD作成。術後lung condition改善を期待しステロイド投与。PH↓,SpO2上昇し、day91退院。症例3:胎児診断HLHS→出生後SV,PS,hypoLV。胎児期治療拒否のため経膣分娩で出生。出生後治療同意しday24シャント手術。症例4:胎児診断正常→出生後MS。出生後多呼吸・肺高血圧継続しday20当院紹介,day39MS解除,day43退院<考察>HLHSの症例1,2で、心房間交通の評価は出生後の経過を最も左右する因子であり症例1では命の尊厳の倫理的な問題に繋がった。従って細心の注意を払った診断に努めなければならない。症例3は、大血管評価を誤った背景に右側大動脈弓が考えられ、下行大動脈との連続性と血管の分枝を見ることが重要になる。症例4では僧帽弁輪径が三尖弁輪径の2/3程度で機能評価が不十分であった。<結語>HLHSの胎児診断では、心房間交通の評価は出生後のコーディネートの鍵になる。大血管、特にASとPSの評価は単心室症例でHLHSの診断に直結するので右側大動脈弓の場合は注意を要する。さらに機能診断にも落とし穴がある。