第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

胎児心臓病学1

一般口演1-03(II-OR103)
胎児心臓病学1

2016年7月7日(木) 08:40 〜 09:30 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
河津 由紀子(市立豊中病院 小児科)

II-OR103-01~II-OR103-05

08:40 〜 09:30

[II-OR103-05] 先天性横隔膜ヘルニアにおける出生前エコー所見と予後との関連

寺師 英子, 永田 弾, 川口 直樹, 村岡 衛, 中島 康貴, 鵜池 清, 平田 悠一郎, 森鼻 栄治, 山村 健一郎 (九州大学病院 小児科)

キーワード:先天性横隔膜ヘルニア、先天性心疾患、胎児エコー

【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は出生前診断例の増加や集学的治療法の進歩により治療成績は向上している。本症の重症度は胎児期に腹部臓器から物理的に圧排を受けること、胸腔内占拠病変に伴い下大静脈と右房のdiometryが変化することで、左心系への血流が減ることによる肺低形成と左心系の発育不良が影響すると考えられる。合併する心奇形に大動脈縮窄や左室低形成など左心室の小さい心奇形が多いといわれるが、その予後を含めた検討はきわめて限られている。【目的】CDHに合併した先天性心奇形の頻度や予後について、また、出生前エコーにおける肺低形成と左室発育不良の程度と予後との関連について検討すること。【方法】2004年~2015年に当院で管理したCDH症例79例を対象に、診療録より後方視的に検討した。先天性心奇形合併例の頻度・予後を調査し、また先天性心奇形非合併例において出生前エコーの肺胸郭断面積比(L/T比)や肺断面積児頭周囲長比(LHR)、三尖弁輪径・僧帽弁輪径のZ scoreなどと予後との関連を評価した。【結果】CDH全79例のうち心奇形の合併は17例(21.5%)に見られ、CoA・VSD・ASD・HLHS・DORV・TGA・TOFなど多様であったが、そのうち35%がCoAを合併していた。心疾患合併例の生存退院は4例(23.5%)であり、全体の生存退院(74.7%)、心疾患非合併例の生存退院(87.1%)と比較して大幅に低かった。心奇形非合併例の出生前エコーにおけるL/T比やLHRは出生後の予後と有意に関連していた。三尖弁輪径・僧帽弁輪径のZ score は予後との間に有意な関連性は認められなかったが、僧帽弁輪径が小さいほど、予後が不良な傾向にあった。【考察】CDHは左心系の心奇形の合併率が高く、合併例は予後不良であった。CoAを含めた心奇形の有無や、僧帽弁輪径や左心系のサイズに注目した出生前評価は、予後予測や治療方針の決定に有用であることが示された。