第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療1

一般口演1-11(II-OR111)
カテーテル治療1

2016年7月7日(木) 16:05 〜 17:15 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
金 成海(静岡県立こども病院 循環器科)
石井 徹子(東京女子医科大学病院)

II-OR111-01~II-OR111-07

16:05 〜 17:15

[II-OR111-05] 右室流出路導管狭窄に対するカテーテル治療戦略

杉山 央, 石井 徹子, 清水 美妃子, 稲井 慶, 篠原 徳子, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学 循環器小児科)

キーワード:導管狭窄、カテーテル治療、右室流出路

【背景】Rastelli型手術における遠隔期導管狭窄機能不全に対して頻回の再置換は心機能の低下をきたす。欧米ではMelody valve等の経カテーテル肺動脈弁留置術(TPV)がおこなわれてるが、わが国ではまだ導入されていない。【目的】TPVが導入されていない本邦における導管狭窄におけるカテーテル治療(CI)の役割について検討する。【対象・方法】 1995年~2015年に導管狭窄に対してCIを施行した90例(年齢2-52歳、中央値13.7歳)。疾患はTOF/PA31例、TGA9例、Ross手術後23例、Truncus 16例、DORV10例、 他6例。導管は主に前期Xenomedicaそれ以降は主にAutologous-pericardiumを使用。【結果】手術からCIまでの期間は3か月から24年(中央値7.3年)。シングルバルーン15例、ダブルバルーン56例、トリプルバルーン8例、ステント 5 例、ステント再拡大 2例。バルーン径は手術時導管径を参照。CIにより圧較差は48.9±16.0mmHgから26.0±10.9mmHg、右室・左室収縮期圧比(RVP/LVP)は0.81±0.20から0.56±0.15に低下した(p<0.01)。66/75例(88%)でRVP/LVP<0.7になり再置換を延期・回避できた。Balloon ruptureは10例(11%)に認めたが、バルーン抜去困難例はなかった。肺出血を1例にみとめたが重篤な合併症はなかった。【考察】導管狭窄の原因は石灰化、弁劣化、成長に伴う相対的狭窄など複合的であるが、高耐圧バルーンによるダブル/トリプルバルーンを用いることで導管の硬化病変でも安全に効果的に拡張が可能であった。【結論】TPVが導入されていない現況では右室圧負荷ではまずバルーン/ステントによるカテーテル治療で導管寿命を延長し、右室容量負荷が顕在化した場合は導管再置換を施行する。一方、右室容量負荷による心機能低下が危惧される場合は早期に導管再置換を施行し心機能の温存をはかる。将来TPVが導入されれば心機能の温存をはかりつつ生涯にわたる再置換回数を減らすことができると期待される。