第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演1-15(II-OR115)
集中治療・周術期管理

2016年7月7日(木) 13:00 〜 13:50 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
須田 寛治(久留米大学)

II-OR115-01~II-OR115-05

13:00 〜 13:50

[II-OR115-01] 左心低形成症候群における下行大動脈血流パターンを用いた循環動態評価の有用性の検討

内海 雅史1, 瀧聞 浄宏1, 武井 黄太1, 田澤 星一1, 安河内 聰1, 仁田 学1, 島袋 篤哉1, 百木 恒太1, 岡村 達2, 梅津 健太郎2, 新富 静矢2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:HLHS、周術期管理、心エコー

【背景】左心低形成症候群(HLHS)は高肺血流から容易にショックに至るため、肺血流調整を目的に窒素を用いた低酸素療法が行われる。低酸素療法開始時期の検討や窒素投与中の循環動態の評価として当院ではドプラエコーによる下行大動脈の逆行性血流速度時間積分(VTI)/順行性血流VTI比(以下、r/f比)を計測し治療方針決定の参考にしている。【目的】HLHS患者に対する、r/f比を用いた循環動態評価の有用性を検討すること。【方法】2008年4月から2015年12月までに当院で治療を行ったHLHS患者7症例(男児4例、女児3例、僧帽弁狭窄/大動脈弁狭窄3例、僧帽弁閉鎖/大動脈弁閉鎖3例、僧帽弁閉鎖/大動脈弁狭窄1例、在胎週数35週5日-40週3日、出生体重2,008g-3,502g)について1)出生時、2)窒素投与開始時、3)窒素投与開始後、4)肺動脈絞扼術(PAB)施行時の各時期に下行大動脈血流ドプラエコーによるr/f比、乳酸値、血圧、SpO2について診療録から後方視的に検討した。【結果】窒素開始は2.42±1.73日、PAB施行は4.91±2.81日であった。1)-4)の各時期におけるr/f比は1) 0.4±0.09、2) 0.64±0.08、3) 0.47±0.12、4) 0.57±0.13。乳酸値(mmol/L) 1) 2.1±1.6、2) 2.7±2.9、3) 1.9±0.75、4) 1.65±0.59。SpO2(%) 1) 92±3.1、2) 95±2.7、3) 83±2.5、4) 81±2.2。収縮期血圧は1)-4)で40-50mmHgで推移した。r/f比、乳酸値はいずれも出生後より徐々に上昇し窒素投与で改善し、PAB前に再上昇する傾向にあった。各パラメーターの相関関係はr/f比と乳酸値がR=0.609, p=0.0094(Spearman)と良好な相関を示し、r/f比で循環動態を評価できることが示された。【考察】下行大動脈血流のr/f比を用いることで、低侵襲にHLHS患児の循環動態を評価できる可能性がある。今後は他の動脈管依存性心疾患についても同様の検討を行い、さらなる検証をする必要がある。