10:10 〜 11:00
[II-TOR03-02] 集中治療を必要とする重症心不全患児と両親への看護師の関わり-心筋緻密化障害のため出生直後から呼吸循環管理を必要とした新生児1例の看護経験から-
キーワード:心筋緻密化障害、心不全、育児
【背景】重症心不全を呈する新生児では出生直後から生命維持のための集中治療管理が優先されるため、両親の育児や児への継続的な関わりは困難となる。【目的】出生直後から集中治療管理を必要とした循環動態の不安定な心不全新生児例で両親の関わりを明らかにすること。【方法】左室心筋緻密化障害による低心拍出状態とうっ血のため出生直後から集中治療管理を要した児の看護記録から、児に対して実施された循環管理とその状態に応じて実施可能であった育児参加を検討した。【結果】呼吸循環管理として日齢0~11は気管挿管、日齢11~12はSiPAP管理、日齢12~34は酸素カヌラ、日齢34~91はSiPAP管理、日齢0~77は持続点滴による循環作動薬の投与が施行された。出生直後の循環動態が不安定な時期においてもホールディングや母乳塗布は循環動態への影響も少なく積極的に実施でき、早期から両親の継続的な関わりを維持することができた。母乳に関しては母乳育児への希望を尊重し、担当助産師と搾乳量について相談しながら進めた。抜管後は循環が安定していることを確認の上、看護師付添いのもと抱っこを積極的に実施することが可能であった。哺乳労作に伴う心不全悪化が懸念されたため栄養は経管栄養で開始されたが、常時経口哺乳のアセスメントを継続した。児の心機能から経口哺乳の開始時期を医師と相談し日齢16より経口哺乳を開始し、日齢22~32は直接母乳も実施可能であった。日齢33より心不全悪化がみられたため育児参加は一時中断したが、児の状態と両親の心理的準備状況を継時的にアセスメントし、抱っこや母乳塗布などの育児参加に加え沐浴も実施できた。また、育児参加以外に児の発達への関わりも実施可能であった。【まとめ】循環動態が不安定な症例においても出生直後より医療者が児の状況や両親の思いを正確に把握し、安全を保障できる育児を提案することで、両親と児が関わる時間を作ることができたと考える。